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 一般チャットで行われた実際の「オンライン☆わたてにんぐ劇場」のチャットログはこちらから。

オンライン☆わたてにんぐ劇場 「懇親会202304」 チャットログ00:懇親会開始前、集合時の様子
オンライン☆わたてにんぐ劇場 「懇親会202304」 チャットログ01:ディスローンの「火の根源地」周辺の散策 ~ 「第2区域:イグニス」への移動
オンライン☆わたてにんぐ劇場 「懇親会202304」 チャットログ02:ウォーミングアップとしての「2文字しりとり」
オンライン☆わたてにんぐ劇場 「懇親会202304」 チャットログ03:ひなたさんによる突発的即興劇「いもまい! ──妹ちゃんはおしまい!──」 アバン
オンライン☆わたてにんぐ劇場 「懇親会202304」 チャットログ04:ひなたさんによる突発的即興劇「いもまい! ──妹ちゃんはおしまい!──」 01
オンライン☆わたてにんぐ劇場 「懇親会202304」 チャットログ05:ひなたさんによる突発的即興劇「いもまい! ──妹ちゃんはおしまい!──」 02 ~ 解散

 スクリーンショットは白咲花さんとみんなのお父さんが撮影したものになります。当日の様子が分かるチャットログを時系列で繋げて分割しております。

 ※今回はディスローンでの散策、および2文字しりとりのパートにおいて部分的にチャットログを撮影できておりませんでした。その為、断片的なものとなりましたことをお詫び申し上げます。

 ※懇親会では「保護者さまにすべて見せていく」という主旨の元、天使たちの舞台裏となる公演会部側血盟チャットでのやり取りはありませんでした。

 「天使たちのお友だち(保護者さま)」を対象とした懇親会を一般チャット(白チャット)にて天使たちが開催してくださいました。


 主な参加者は以下の通りでした。
 わたてん公演会部:星野ひなたさん、星野みやこさん、白咲花さん、種村小依さん、小之森夏音さん
 わたてん保護者会:絵笛さん、千代りんさん、マイチャンさん、楽笑09さん、oなききつねoさん、みんなのお父さん

 総勢11名でのイベントとなりました。ご参加ありがとうございます。
 ※今回より、主にグランカインサーバーにてご活躍中の「oなききつねo」さんが天使の保護者さまに加わることになりました。今後ともよろしくお願いいたします。
 ※今回の懇親会は乃愛さんによる「天使の羽休め」の後半部分を公演してくださることになっていましたが、急遽体調不良により欠席となった関係で通常の懇親会に変更して実施されました。


 なお、まいちゃんさんが今回もお話の内容をモチーフとしたイルミネーションアートを作ってくださり、その製作過程の記事を掲載してくださったようです。 →  ベロアの倉庫・w・
 いつも天使たちの公演内容に合わせたイルミネーションアートを作ってくださいまして、ありがとうございます。
 作品につきましてはいつも通り、天使たちがヴァラカスサーバにて撮影してくださいましたので本ページ下部に掲載させていただきます。





私に天使が舞い降りた! TVシリーズ公式サイト より、プロフィール画像はこちらになります。(コンパクトにまとめました)










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──  いもまい! ──妹ちゃんはおしまい!──  ──
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 ■作品イメージタグ■
  #私に天使が舞い降りた! #わたてん! #星野ひなた #星野みやこ #白咲花 #小之森夏音 #種村小依 #ひなみや #立場の入れ替わり #おにまい! #お兄ちゃんはおしまい! #他作品コラボレーション

 ■作品文体■
  一人称小説

 ■お題■
  ~ 今回は省略 ~

  ※今回の懇親会の内容にまつわる考慮事項について。
   上述の通り、今回の懇親会では事前に「天使の羽休めの後半部分を実施する」と周知がされていましたが、前日夜からの高熱が下がらなかった為乃愛さんは欠席となってしまいました。
   通常、このような場合「懇親会そのものを延期する」「ロケ地探しなど他のものに差し替える」といった対応となりますが、今回は当日の朝にメンバー変更となったことから十分に周知などができなかったようです。
   しかしながら、病臥の乃愛さんからのメッセージ「来てくれた保護者さまを楽しませてあげてネ」を受け取ったひなたさんは、乃愛さんの物語で使用する予定であった時間枠を利用して全く新規の突発即興劇を織り成してくださいました。
   またそれだけでなく、ディスローンにおけるロケ地探しの散策という企画の提案にて、動揺する天使たちに手を差し伸べてくださった絵笛さん。貴重な時間を割いて懇親会に参加してくださる保護者のみなさま。
   大変なときにはみなで助け合うという動きを実践してくださる方々が身近にいることで、天使たちも安寧の内に物語を紡ぐことができるのだと思いますし、また保護者さまの為に美しい物語を届けようという心持ちになるのだろうと思います。
   このようなあたたかい集いのメンバーで居られることに、感謝いたします。みなさまいつもありがとうございます。


  ※コラボレーション先作品について。
   ねことうふ氏のオリジナル作品、「お兄ちゃんはおしまい!」がコラボレーション先作品となります。ひなたさんも恐らくアニメでご覧になったのでしょうね。
   pixivでも表記ゆれが目立ちますが、わたてん!と同じく「!」が末尾に付くのが正式作品名となります。以下に原作第1話のリンクを作成しました。(pixivアカウントが必要です)

    「お兄ちゃんはおしまい!」第1話(pixivサイト内)

   当初は同人誌として、即売会や通販サイトで販売されていた作品ですが、現在は商用誌として一迅社から出版されています。(わたてん!と同じ出版社ですね)
   しかしながら、上記のpixivページにて同人誌・商用誌とほぼ同じ内容の作品が無料で読めてしまいます。非常に太っ腹な対応であると言えましょう。
   もちろん、商用誌にしかない小話などもありますが、メインストーリーを追うだけであればpixivの作品を最初から読むだけで十分と言えます。
   2023年4月現在、第85話まで無料公開されています。

   なお、アニメの方の公式サイトは以下となります。

    TVアニメの「お兄ちゃんはおしまい!」公式サイト



  ※非常に個人的な所感としましては、「おにまい!」のお話はいささか天使たちには時期尚早に感じております。後3年ほど、中学卒業付近になれば一人での視聴も出来得るのではと思います。
   絵柄は確かに非常に愛らしいのですが、取り扱う内容や、視聴する為に必要となる概念・前提知識は小学生にはまだ早すぎる為です。
   聞くところによると、天使たちはみやこさんと共に視聴し、分からないところを都度みやこさんが説明・解説しながら進めていったそうです。
   私でも解説することを躊躇する語句・概念が散りばめられている作品ですので、大変苦労されたと思います。みやこさん、頑張りましたね。
   天使たちにショックを与えず必要な情報を選別して伝えるといった、苦労は絶えませんが日常における天使たちの「頼りになるお姉さん」であるみやこさん。
   「天使の羽休め」から「いもまい!」の一連の物語にて克明に描かれる「かっこいいみやこさん」のお姿は決して空想の産物ではなく、このような日常からの地続きのみやこさんのお姿が投影されているのだなと感じております。





「ん・・・ ふぁ~~・・・   んん~~~~~・・・」

 今日もいつもどおり、学校帰りにみんながうちに寄ってくれた。
 でも、のあだけちょっと予定があるみたいで来られなかったんだ。残念だなー。
 みんなでみゃー姉の作ったコスプレを着て、みゃー姉の作ったおやつを食べ終わって。わたしは午後の体育の授業で走り回ってたから、ちょっとだけお昼寝してたんだ。

「・・・あ、お姉さん。さっきの話なんですけど」

 はながみゃー姉に話しかけてる声が聞こえる。どうやらお昼寝してたのはわたしだけみたい。

「お姉さん! もーっと大人っぽくなりたいんだけど、どんなお化粧したらいい?」

 おー、こよりもみゃー姉に頼ってるな。やっぱみゃー姉は頼りになるからなー。うんうん。

「おねぇさん。その、クッキーの味見してみてもらえませんか?」

 かのんもみゃー姉に味見してもらおうとしてるみたい。さすがみゃー姉、大人気だな!

「・・・お姉ちゃん、みんなが聞いてるよ? まだ寝ぼけてるのかな」

 ・・・んん? なんか聞いたことない声が聞こえる。みゃー姉・・・の声なんだけど、なんかちょっと小さい子の声のような感じする。ゆうみたいな。

「お姉さん」
「お姉さん!」
「おねぇさーん」
「お姉ちゃん」

 みんながわっとわたしの周りを取り囲んで、手や服を引っ張ってくる。
 んんん?? あれ?
 もしかして、みんなわたしのこと呼んでるのか?



──────────────────────────
──                      ──
── いもまい! ──妹ちゃんはおしまい!── ──
──                      ──
──────────────────────────

01


「お、おおー みんなどうしたんだ?」
「その。最近お姉さんの作る衣装がだんだんと露出が多くなっている気がします」
「おー そろそろあったかくなってきたからじゃないか?」
「お姉さん! 大人っぽいお化粧おしえて!」
「こより、まだわたしたちにはお化粧は早いと思うぞ。お化粧なんてしなくても十分こよりはかわいいぞ」
「おねぇさん。このクッキーなんですけど・・・」
「おー いただきます。 ・・・ん。ふぁのんのくっひーもひゃんとおいひいぞ。むぐむぐ」

 そっか。これはあれだな。新しい遊びか。
 わたしが寝てる間に、みんなで考えたんだろうな。これはこれで面白いかも。
 でも・・・。

「・・・お姉ちゃん。お友だちきてるのにひとりだけ寝たらダメだよ?」
「お、おー。ごめんな? えっと・・・」

 その子は、小さい頃のみゃー姉そっくりだった。アルバムの写真で見たのとおんなじ。今の私たちよりちょっと小さくて、小学二年生くらいかな。ゆうとわたしたちの間くらいで、みんなと同じ制服を着ている。

「・・・なんて呼んだらいいんだ?」
「変なお姉ちゃん。いつもとおなじ【みやこ】でいいよ」
「おー、ごめんな、みやこ。なんか疲れちゃってなー」

 やっぱり、みゃー姉みたい。
 でもみゃー姉からわたしが「お姉ちゃん」って呼ばれてる。なんか新鮮だな!
 みんなも小さくなったみゃー姉のことあんまり気にしてないみたいで、すごい演技力だと思う。

「いや・・・ 暖かくなってきたからっていうより、なんだか水着みたいなのが増えてきてると思うんですけど」

「そうなのか。はなはそういうのダメか?」
「ダメっていうか・・・ 恥ずかしいのでもうちょっと抑えてください」

 はなはほっぺをふくらませて文句を言ってる。
 みゃー姉にしか見せないような顔で、よく見るとたしかにかわいいなって思う。

「私はかわいいよりかっこいいって言われたいの! だから大人って感じのお化粧できるようになりたいわ!」
「なるほどなー。あんまりお化粧くわしくないけど、今度おかーさんに教えてもらうからな」
「じゃあ、次来た時に教えてね!」

 こよりもキラキラした瞳で見つめてくる。こよりの目はまっすぐで輝いてるから、ちょっとまぶしく感じるな。
 でも、大人っぽいお化粧かー。みゃー姉もおかーさんにちょっとだけ教わってた気がするな。

「おねぇさん。まだまだおねぇさんのクッキーには届かないので、秘訣を教えていただけたらなって」
「十分おいしいけどなー。そうだなー・・・」

 困ったな。かのんはわたしよりお菓子上手に作れるから、わたしからできるアドバイスなんてないぞ。
 あとはよく言ってる「愛情を込める」ってことくらいだけど、かのんもそれはやってると思うしなー。うーん。

「レシピ通りには作れてるもんなー」
「そうなんです。そこから先のところを、どうしたらいいのかなって・・・」
「食べてくれる人のことを想いながら作るといいみたいだぞ」
「そうですよね」
「あと、みゃー姉もよくやってるけど、食べてくれる人に味見してもらうといいかも」
「みゃーねぇ? ・・・あ、はい。じゃあよりちゃんに味見してもらいながら作ってみます」

 さすがかのん。これだけで分かってくれたみたいだ。
 ふー。なんかさっきから引っ張りだこで、目が回りそう。
 みゃー姉もいつもこんな感じになってるけど、結構大変だったんだなー。


カシャン   パキン・・・


 音がしたほうを見ると、みゃー姉、じゃなくてみやこが紅茶のカップとお皿を床に落としちゃったみたい。
 どうやら片づけようとしてくれたみたい。手が滑ったんだろうな。

「みやこ、大丈夫か?」
「お姉ちゃん・・・ごめんなさい、割っちゃった」
「いいんだぞ。それよりケガしてないか?」
「うん。だいじょうぶ。でも・・・」

 うつむくみやこ。視線の先に、紅茶で濡らした制服のスカートがあった。
 とりあえず着替えさせないとな。着替え着替え・・・
 いや、その前に危ないから割れた食器をトレーに乗せて、みんなが触らないようにティッシュでくるんで・・・。
 とやってる間に、みやこが自分で拭こうとしたのか立ち上がっていた。案の定、スカートにできていた水たまりが床にこぼれて水びたしになっていた。

「あーっ ちょっとみやこ、動かないで座っててくれ」
「うぅ、お姉ちゃんごめんなさい・・・ ふぇ・・・」
「大丈夫だ。泣かないでいいぞ」

 みやこはぺたんと座り込むと、ぐしぐしと泣き始めちゃった。
 弱ったなー。ちょっといっぺんには無理そうだぞ。

「はぁ・・・。まったくお姉さんは。私も手伝います」
「私もやります。花ちゃんと片付けるので、みやこちゃんのことお願いします」

 花は床の掃除をしてくれて、かのんは割れた食器を一階のシンクまで持っていってくれた。
 こよりはわたしといっしょにみやこの世話をしてくれて、替えの着替えを持ってきてくれた。

「よーしよしよし。制服は洗濯するとして、これ着てくれな。こより、ありがとな!」
「ふふーん!」
「お姉ちゃんたち、ありがとう・・・」

 ふぃー。みんなのおかげでなんとかなったな。
 でも、そっか。ひとりでやらないでみんなに助けてもらうのもありなんだな。
 「お姉ちゃん」だから、ぜんぶひとりでやらなきゃいけないと思い込んでた。
 うー、なんか目が回ってきたかも。

「お姉さん。床を拭いたタオルは洗濯もののカゴに入れてきました」
「おねぇさん。割れた食器はペーパータオルに包んでシンクに置いてきました」
「お姉さん! 濡れちゃった制服は拭くだけ拭いて、ハンガーにかけておいたわ!」

 おおー、みんなありがとなー・・・。
 「お姉さん」「おねぇさん」「お姉さん!」
 みんなからお姉ちゃんあつかいされるのもいいもんだなって思ったけど。
 慣れないことを急にしたからかな。なんか目が回ってめまいがしてきた・・・。
 右手でおでこを押さえながら、その場にうずくまってみる。そのほうが楽な気がして。
 そのまま床にへたり込むと、みんなの心配する声が聞こえてきて。
 最後に聞こえたのは、みやこの声だった。

「お姉ちゃん、お姉ちゃん。大丈夫? お姉ちゃん────」

02


「ん・・・ んん・・・」

 あのまま少し寝ちゃってたみたい。
 周りがすごく静かだけど、さっきとおんなじみゃー姉の部屋で。
 みゃー姉のベッドで寝てたわたしは、むくりと起き上がると周りを見回してみる。
 みやこのことそのまんまだし、割れた食器もそのまんまだし、何よりみんなのことそのまんまにして寝ちゃってたから。

「・・・お、やっと起きた」

 懐かしい、聞きなれた声。みゃー姉の声だった。
 声がしたほうを見ると、ベッドの横に置かれてる椅子に座ったみゃー姉がわたしのことを見つめてくれていた。

「みゃっ・・・」
「お?」
「みゃー姉ぇぇ~~~っ!!


だっ   ぎゅっ


「ちょ、ちょっとひなた・・・。 どうしたの? 怖い夢でも見たの?」

 怖い夢。そう、あれはわたしにとってすごく怖い夢だった。
 みゃー姉は妹になっちゃうし。
 みんな同級生なのにわたしのこといっぱい頼ってくるし。
 同い年だけど「お姉ちゃん」だったから間違ったこと教えられないし。
 のあもそばにいなかったし。
 誰にも頼ることができない怖さがあって、責任がとっても大きくて、背中に氷を押し当てられてるような感じだった。

 わたしがしっかりしないとどれも先に進まないし、いつもいっしょに遊んでるみんなだけど、「お姉ちゃん」になってみるとすっごい大変なのがよくわかった。
 みゃー姉はいつもこんな大変な思いをしてるのかな。
 わたしが気づいてないだけで、してるんだろうな。

「みゃー姉・・・」
「んー?」
「お姉ちゃんって、大変なんだな」
「えぇ、どうしたの急に。 ・・・まぁ、確かに大変なときもあるけどね」

 やっぱり大変なんだな。さっきちょっとだけ「お姉ちゃん体験」しただけで、どれだけ大変なのか分かった気がするし。

「・・・みゃー姉は・・・」
「うん?」
「みゃー姉は、わたしのお姉ちゃんで、よかったか?」
「もちろんだよ。ひなたが妹じゃない世界なんて、考えられないよ」
「でも、みゃー姉にわがまま言っていろいろ大変な思いさせてるし、寝てるときとかケガさせちゃうかもしれないし」
「ひなた」


きゅぅ・・・


 泣きそうになってるわたしを、みゃー姉はあったかく抱きしめてくれた。

「そういう大変なときも、もちろんあるよ?」
「でも、家族でしょ? ひなたは私のかわいい妹だし」
「私だけだとできないことも、ひなたが居てくれるから前に進められたりするし」

 みゃー姉は、ひとことずつゆっくりと、気持ちを込めて伝えてくれた。

「それに、花ちゃんたち。ひなたが連れてきてくれなかったら、今のきらめくような生活は訪れなかったでしょ?」

「うん・・・」
「だからね、そういうのも含めて、私はひなたのお姉ちゃんで本当によかったなって。そう思うんだ」
「みゃぁねぇ・・・」

 さっきとは違う涙がこみあげてくる。
 不安な涙じゃなくて、ほっとしたうれしい涙。
 泣いちゃいそう。泣いていいか? うん、泣く。

「みゃあぁぁぁぁ・・・・ みゃあああぁぁ~~・・・」
「よしよし・・・」

 みゃー姉が頭をなでてくれて、抱きしめてくれる。
 みゃー姉、いつもありがと。うれしい。

「ぐすっ  わたし、みゃー姉の妹で、ほんとによかった」
「そう? それなら、私もうれしいな」
「えへへ・・・」
「ふふ・・・」



────────────────────────────
──                        ──
── いもまい! ──妹ちゃんはおしまい!── 完 ──
──                        ──
────────────────────────────

















【 エンジェリック☆プチ・インタビュー 】

今回の公演会にご参加くださいました天使たちに、自由気ままに語っていただきました。
インタビューはミスリル・リンクHPにて暫定版を公開した後のゴールデンウィーク中に複数日に分けて行いました。みなさんチャットログおよび暫定版の記事は読んでいただいている状態です。


※ 編集より ※
 本インタビュー記事につきましては、基本的にTVアニメ「お兄ちゃんはおしまい!」を視聴している方を前提とした記載となっております。
 2023年5月現在、TV放映はもちろんニコニコ動画のプレミアム会員特典での全話無料視聴も終了しており、アマゾンプライムなどの各種有料動画配信サイトを契約されている方のみ全話視聴が可能となっております。
 (ニコニコ動画では第1話のみ、どなたでも無料視聴できる形となっているようです)
 その為、補足説明として私の方で「取り上げているシーンについての解説」を挟んでおります。解説はこの文字色にて記載いたします。
 私の文章力の問題で適切に伝わらない可能性もありますが、どのような流れの中で出てきた用語・概念であるのか、天使たちがどのような点を理解できずみやこさんに質問したのかをご理解いただく為の一助となれば幸いです。




インタビューイー:星野みやこさん 白咲花さん 星野ひなたさん 姫坂乃愛さん
インタビューアー:みんなのお父さん




──本日もお集まりいただき、ありがとうございます。



いえ、お父さんこそお時間作っていただいて・・・。
すみません。ありがとうございます。
今回は「おにまい!」のアニメみてたとき、いろいろみゃー姉が大変そうだったからなー。そのことを残しておきたくてな。



────みやこさんの武勇伝が聞けるとあって楽しみにして参りました。ただ、その前に。乃愛さんも、どうぞこちらへ。



えっと・・・ みんな、今回はごめんネ>ω< ドタキャンしちゃって
体調不良だったんだし、仕方ないと思うよ?
そうだよ。熱あるときに負担の大きい公演をさせられないし、ノアの判断は間違ってなかったよ。 ほら、ひなた
のあ・・・


きゅぅ・・・


ひ、ヒナタ、ちゃん・・・
のあが元気になってくれた。もうそれだけでわたしはうれしいぞ。
うん・・・ でも
病み上がりなのに、今日もこうして来てくれたし。ありがとな、のあ!
ヒナタちゃん・・・!
・・・お姉さん。あとはもう二人にまかせていいんじゃないですか? 私たちはおうちに帰ってお菓子を
みゃー姉はいてくれないと、このインタビューできないぞ。
あはは・・・
・・・そうだね。じゃあ、みんなで。
えへへ・・・みんな、アリガト☆



────僭越ながら保護者の一人として申し上げますと、熱があることが分かっている中、乃愛さんが頑張ってしまうのを見届けることは胸が痛みます。恐らく、エミリーさんを始め多くの保護者さまが止めたことでしょう。
────その為、花さんのおっしゃる通り今回の欠席の判断は普段の乃愛さんらしいクレバーなものだったと思います。どうかお気に病まず、今は快復したことを喜びましょう。



うん。パパもありがと^^



────さて。それでは今回は「プチ・インタビュー」と題しまして、みなさんが4人でコラボレーション先作品「お兄ちゃんはおしまい!」のアニメを視聴された際の出来事に絞ってお伺いします。
────ひなたさんを始め、みなさんがこの作品に触れることとなった経緯を教えていただけますでしょうか。



えと アニメを先に見ていたのはノアだよね。
うんうん。アタシのとこはママがゆるーいから自由に配信アニメも見られるんだー。それで、ヒナタちゃんに「リカチマル出てるよ☆」って教えてあげたの。(※)

※編集注 「リカチマル」とはわたてん!に於ける星野ひなたさん役の声優さん長江里加(ながえりか)さんの愛称です。


家庭科の先生「北原ゆりこ」役として長江里加さんが声をあてていらっしゃいます。
そのイメージから間違われやすいのですが、ひなたさんによく似ている「桜花あさひ」役の声優さんは別の方です。



それ聞いて、それなら見たい! って思ったんだ。それで、おかーさんに相談したんだ
うちのお母さん、放任主義というか・・・。実はちゃんとひなたが見る前にどんな作品かは目を通してるみたいなんですけど、ひなたには「好きにしなさい」としか言わないので・・・。
そうなんだー? チヅルさんが先に見てて、チヅルさんが好きにしなさいって言う作品なら、もうOK出てるってことじゃない?
そうなんだけど、お母さんは「みやこ、ひなたが見るときはあんたも横に座って一緒に見なさい」って言うんだよ・・・。
・・・つまり、姉妹仲良く見なさいってことですね。
おう! それでみゃー姉にお願いしたんだ。
仲良くっていうか・・・お母さんの判断だとPG(ペアレンタルガイダンス:保護者の指導のもと視聴することが推奨されるレイティング)みたいだから、私がつきあうことになったんだ。
うんうん。それで、アタシも一緒に見るーって言って、どうせならハナちゃんも一緒にって思ってお誘いして、4人で見ることになったんだー。



────なるほど。千鶴さんのご判断は正しいと思います。アマゾンプライムでは全年齢対象ではあるものの「肌の露出、暴力、性的なコンテンツ」と分類されている作品ですからね。
────それでは、実際にアニメをご覧になっていかがでしたでしょうか。



アタシとハナちゃんは「ふんふん」ってカンジで、おとなしく見てたよー。ミハリちゃんマッドサイエンティストだなーってω
みはりちゃんはお兄ちゃんのことが大好きみたいですけど、それはあくまでも「お兄ちゃんとして大好き」なんだろうなって思いながら見てました。「いいお婿さんを見つけて」みたいなことを言ってましたし。
そうだね。それにお兄ちゃんのほうも「妹には興味ない」ってズバッと切り捨ててたから、この兄妹(姉妹)が結ばれることはないんだろうなぁ。普通に仲のいい兄妹だね。
わたしはいろいろ分からないことがあったから、みゃー姉にいっぱい質問しながら見てた。
ああ、すごかったよねひなたの質問攻め。お姉さんよく耐えきったなって。 まぁ、ひなたが分からなかったところは私も分からなかったんですけど・・・。
いやもう本当、勘弁してって思った・・・。
うんうんω ミャーさん大変そうだったけど、でもほとんど全部答えてたネ。すごいなー。「まだ完結してないお話だから」で逃げちゃってもよかったのにーω
でも、それで逃げられる質問じゃなかったからね。この先の展開とかより言葉とかについての質問だったから。確か・・・



■見てる途中でひなたが質問してきたこと一覧(1話~10話 登場順)

・エロゲってなんだ?
・「じたくけいびいん」と、「ニート」と、「ひきこもり」って違うのか? みゃー姉はどれ?
・いかがわしいげーむ? みゃー姉ははなから何度も「いかがわしい」って言われてるけど・・・どういうゲームなんだ?
・おんなのこのかいかんはおとこのこの100倍すごいのか! んん、それってどういうことなんだ? 頭がぱーになるみたいだけど
・まひ姉は、ペットボトルを何に使おうとしてたんだ? やっぱ無理って言ってたけど
・BLゲームって?
・「じこどういつせいのきき」って?
・お風呂屋さんで5分も髪の毛洗ってたけど、あんなに洗うのか? わたしはもっと短いぞ。あと正しいドライヤーの使い方ってどんなの?
・まひ姉がトイレで絶叫してすずめが飛んで行ってたけど、あれはなんだったんだ? あとお赤飯はどう関係するんだ?
・ぎゃるってなんだ?
・チャーハン作るときに卵入れてからベーコンいれてたけど、逆じゃないか?
・まひ姉、おもらししすぎじゃないか? わたしより年上だと思うんだけど
・じぇーしーって? あと、ゆりってコミック百合姫と関係ある?
・えっちな本だって。みゃー姉の作ってるはなの写真集みたいなものか?
・押し倒されてるまひ姉に、みは姉が「そういうの普通逆じゃない?」って言ってたけど、なんか逆だったのか?
・ゲームコーナーにいたおじさんはなんだ? すごく怖かったけど
・あさ姉も言ってたけど、「アレ」ってなんだ? なんかまひ姉、誤解されちゃってたみたいだけど
・テストの勉強してるとき、みは姉がまひ姉のことにらんでた。あれは?
・ゲーム禁止! ってラベル貼ったすぐ後の授業中に、ゲームのメモ書いて「早く帰って続きがしたい」って言ってた。反省してないぞ?
・がしんしょうたん? かんなんしんく? とうげんきょう?
・あさ姉、そんなにわたしと似てるか?
・ふじょし? ってなんだ?
・まひ姉が好きな「りょーじょくけい」って?
・なまものはほどほどにだって。クレープのことか?




・・・こんな質問だったと思う。
あー 確かに逃げられないものばっかりだねぇ。 ミャーさんもよくメモしてたねぇω
またもう一度聞かれたら大変だからメモしておいたの



────これは手厳しい。これらを辞書的な意味で正確に伝えてしまうと天使性が損なわれる可能性がある用語・概念が多いですね。
────みやこさんは、これらの質問に対してどのようにお答えされたのでしょう。覚えている範囲で教えていただけますでしょうか。



その・・・確か・・・



※以下、天使たちによる回想シーン(覚えている範囲で再現していただきました)
※途中に挟まるイメージはアニメ「お兄ちゃんはおしまい!」よりテーマの該当箇所を抜粋しインサートしております。
※また、理解の手助けとなると思われる箇所については、一迅社より出版されている原作マンガ「お兄ちゃんはおしまい!」からも抜粋しております。

※用語解説
 主に天使たちのやり取りで用いられる人名について記載します。
 ・まひ姉/お兄ちゃん/まひろちゃん/マヒロちゃん = 緒山まひろ(主人公) 女性化する前の男性時の本名は「緒山真尋」(読み方同じ)。元「成人男性」の為、20歳は超えていたものと推察される。
 ・みは姉/みはりちゃん/ミハリちゃん       = 緒山みはり まひろの妹。まひろを女性化した張本人。スポーツも得意で、高校1年生から飛び級で大学生になるなど文武両道の天才科学者。大のお兄ちゃん好き。
 ・かえでちゃん/かえで              = 穂月かえで もみじさんの姉。みはりさんと同い年で親友。高校デビューで派手な見た目となったが、中学時代は大人しく地味な印象だった。友人の少ないみはりさんのことを気遣い支える天性の「お姉さん気質」を持つ。
 ・もみ姉/もみじちゃん/モミジちゃん       = 穂月もみじ かえでさんの妹。まひろさんが転入することになる中学校に通うクラスメイト。かっこいいものが好きでボーイッシュな服装を好む反面、スレンダーな体型に落ち込むことがある。
 ・みよ姉/みよちゃん/ミヨちゃん         = 室崎みよ  まひろさんが転入することになる中学校に通うクラスメイト。自称姫女子の観測者。自分が表舞台に出ることを極端に嫌う。手先が器用で裁縫は得意だが料理は苦手。
 ・あさ姉/あさひちゃん/アサヒちゃん       = 桜花あさひ まひろさんが転入することになる中学校に通うクラスメイト。元気で明るく物怖じしない天真爛漫な性格。大学受験を控える兄(ゆうや)がいる。



・エロゲってなんだ?


<第1話 まひろとイケないカラダ>
「おにまい!」主人公である、緒山まひろさん。既に女性化した後のお姿の為分かりにくいですが、元々は成人男性であり本名は「緒山真尋(おやままひろ)」です。
このシーンは第1話のアバン(オープニング前)であり、妹の緒山みはりに性転換薬を一服盛られたことが判明し、しばらく女性として生活をしなければならないと宣告され、多大なショックを受けた直後です。
とてもそうは見えないのですが、思いのほか感情の切り替えがスピーディーに行われており、両手に成人向けゲームを持ち「堪能させてもらおうか! 女の子の性活をな!」と興味津々なご様子。
因みにひなたさんが以下で提示されている「エロゲを愛するここうのじたくけいびいん」というセリフはこれより少し前、タブレットで自身の姿を確認した際に
「いやいや落ち着け。俺、緒山真尋はエロゲを愛する孤高の自宅警備員……立派な成人男性のはず……」と困惑されますので、そこからの引用と思われます。

まとめると、「朝起きたら妹に一服盛られて女の子になっていた」という状況です。カオスですね。


 いきなり重い・・・>ミ えっと、エロティックなゲームって意味なんだけど・・・。
 あれでしょ? オトナ向けゲームとかっていう
 あ、うん。そうそう。成人向けのゲームにもいろいろあるみたいで、ただ単にエロティックなゲームだけじゃなくて、感動して泣いちゃうようなシリアスなゲームとか、表現が怖すぎて子どもに見せられないようなホラーゲームも成人向けにカテゴリーされてるよ。
 いろいろあるんだなー。まひ姉が言ってるのは、えろてぃっくなげーむのことみたいだな。それで、えろてぃっくってどんなのだ?
 ひー>ミ えっと、どうしよう。 あのね、ひなた。大人になると、いろんな理由から自分の責任においてエロティックなゲームで遊ぶことがあるの。
 そうなのか。みゃー姉はどんなので遊んでるんだ?
 私はそういうの持ってないから・・・。さっき言ったようなシリアスで現実的なシナリオのゲームにも、部分的にそういうエロティックな表現が入りこむことはあるみたいだよ。
 ミャーさんつらそう。あのね、ヒナタちゃん。オトナ向けのゲームだから、エロティックなの含めてまだアタシたちには関係ないってことだよー。
 んん、それもそうだな。まひ姉が「エロゲを愛するここうのじたくけいびいん」って言ってたから気になってなー
 ・・・お姉さん。たぶん、ひなたはまだ「エロティック」ってものがよく分かってないんだと思います。私もですけど。
 あー そっか・・・。こればっかりはもうちょっと大きくならないと実感はできないかな・・・。
 そっか。でもありがと!
 ううん。ごまかしちゃったみたいでごめんね・・・。



・「じたくけいびいん」と、「ニート」と、「ひきこもり」って違うのか? みゃー姉はどれ?


同意もなく性転換させられたこともあり、妹に対し「実の兄をなんだと思ってやがる!」と発言するまひろさん。
それに対する妹の回答が「引きこもりのダメニート」「もう二年も外に出ないで、自堕落な昼夜逆転」「おまけにいかがわしいゲーム三昧」と、歯に衣着せぬものでした。
このシーンではその妹の回答が突き刺さっている、という表現になります。


 どれでもないよ!? 私はちゃんと大学生だし、学校にもちゃんと通ってるしね。ふふん!
 でもお姉さん、お母さんのお使いとかもあんまり行かないですよね。
 それに、お外に出る必要がないとずーっとお部屋にいるよねぇ。そういうのって引きこもりって言うんじゃない?
 うぅ・・・ た、確かにそうかもしれないけど・・・。でも、自宅警備員でもニートでもないからね?
 それぞれどう違うんだ?
 えっと・・・そもそも、自宅警備員っていうのはお仕事の名前じゃなくて、インターネットのスラングなの。インターネットでしか使わない言葉のひとつね。
 すらんぐ?
 ひなたも、このリネージュ2でしか見たことのない言葉づかいってあるでしょ? 学校とかで見かけないような。
 んー、いくつかあるかも。「草」とか、「www」とか、「よもやこの目で見ようとは」とか、「○○でしか摂取できない栄養素がある」とか、「うぃすぷらす」とか。えふ姉がよく使ってるし、ワールドチャットとかでも見るなー。
 あれエプさん語なんだと思ってたω ネットスラングだったんだネ。って、「うぃすぷらす」って?
 「wisplz」ってたまに見ないか?
 それ、「うぃすぷりーず(wisper please)」じゃない? ウィスパーで声かけてくださいって意味だと思うー。スラングっていうか、リネージュ2用語かも?
 そうなのか!? でも、みゃー姉の言ってるのってこういうのだよな。
 うん。日常生活では使わないけど、ネットゲームとかでよく見かけるのをインターネットスラングって言うんだけど、自宅警備員もそのひとつ。引きこもりやニートの人が、自宅にずっといることを指してる言葉。
 ひきこもりとニートは?
 引きこもりは、自宅から出ない人。自室からも出ない人のことも言うみたいだね。仕事や学校に行けなくて自宅に籠って、家族以外とお話をしない人を引きこもりって言うよ。ニートは「Not in Education, Employment or Training」の頭文字で、「学生でもなく、職業訓練も受けていない人」のことだよ。
 そっか。ひきこもりの人はおうちにずっといるから、おうちを守ってるってことでじたくけいびいんなんだな。やもり!
 その意味だと、ニートって別に引きこもってる人じゃないからニート=自宅警備員にはならないんじゃない?
 そうだね。でも、学生でもない人で、職業訓練も受けていない人は、お外に居場所がないから実質的に自宅にずっといることになるでしょ? だから意味は違うんだけど(ニート≒引きこもり)=自宅警備員ってことに一般的には言われてるね。
 でもこれ・・・わたてんでも私が言ってたセリフだよね。「お姉さん、ニートじゃなかったんですか?」って。
 そうだった。はなのセリフだったからあんまり深く考えてなかったかも。その場で聞けばよかったなー。



・いかがわしいげーむ? みゃー姉ははなから何度も「いかがわしい」って言われてるけど・・・どういうゲームなんだ?
 うぅ>ミ これもさっきのエロティックなゲームのことだから・・・ね?



・おんなのこのかいかんはおとこのこの100倍すごいのか! んん、それってどういうことなんだ? 頭がぱーになるみたいだけど


「ひとついいこと教えてあげる。女の子の快感ってね、男子の100倍くらいすごいんだって。もし今のお兄ちゃんが急にそんなの体験しちゃったら……ショックで頭が壊れて、パーになっちゃうからね?」
先ほど両手にお持ちだった成人向けゲームをプレイしようとしたまひろさんですが、上記の妹からのセリフを受けて「パーになってしまった自分を想像した姿」となります。
まるでクラッカーの紐を引いたかのようなコミカルな状態になっていますが、元々男性であるまひろさんにはあまりリアルに想像できなかったのでしょうね。


 えぇ、そうなんだ・・・。私も今初めて知ったよ。
 そんなに違いがあるんだー? でも確かに、ずっとオトコノコだったマヒロちゃんが100倍の刺激受けるとパーになっちゃいそうだネω
 ひなた、分かった?
 かいかんっていうのが分かんないなー
 ヒナタちゃん、それはネ、こう・・・    こちょこちょこちょ
 ふぁっ のあ あはははっ ちょっ 急にくすぐるのだめぇー! んぅ
 それがカイカンだと思うなー。くすぐったいとか、キモチイイって感じる感覚?
 ふーっ  これが100倍だと、たしかにまひ姉ダメになりそうだな
 助かった・・・。ノアちゃんありがとね
 にゅふーんω



・まひ姉は、ペットボトルを何に使おうとしてたんだ? やっぱ無理って言ってたけど


自室でMMORPGを快適にプレイするまひろさん。しかし、尿意は唐突にやってきました。
「……けどもうすぐボスの湧き時間なんだよな……」
もぞもぞと、トイレに行きたいのを必死に我慢するまひろさん。そして、手元のペットボトルを凝視します。
「し、仕方ない。非常時だっ……!」
ペットボトルに手を伸ばすのですが、その直後部屋から飛び出し「やっぱ無理ぃ~~」とお手洗いに駆け込んでいきました。
女性はお手洗いを我慢しづらいこと、男性時より頻繁にお手洗いに行く必要があることを、身を持って体験されたのでした。


 このアニメ、なんでこういうの多いんだろう・・・>ミ    ひなた、まひろちゃんはペットボトルを緊急用のおトイレとして使おうとしてたみたいだよ。
 おトイレ? え ペットボトルにか? むずかしくないか?
 だから「やっぱ無理」ってなって、トイレに駆け込んでいたでしょ? そういうこと。
 あんなに近くにおトイレあるんだから、普通に最初からおトイレ行けばいいのになー
 んー、トイレにいく時間ももったいない、ってくらい熱中してたのかなー?
 ボスがわく時間だって言ってたね
 そっか。でもその時間分かってるなら、もっと早めにトイレ行かないとな。



・BLゲームって?


「セメ」さんと「ウケ」さんによる、BLゲームのプレイ画面です。
「みはり、俺はもうダメだ。終わりのない禁欲生活、いよいよ我慢の限界で、どうにか気分を萎えさせようと昔間違えて買ったBLゲームで遊んでみたら……ちょっと興奮した」
と、何故まひろさんがBLゲームを持っているのか、何故プレイしているのか、その背景が語られるシーンです。


 ボーイズラブ(BoysLove)の略でBLみたい。これは男の子同士の恋愛がテーマになるゲームのことだね。
 おとこのこどうしかー。身近にあんまりいないから分からないな。ひげろーとにぎろーとかか?
 ひげにぎ・・・どうなんだろう。かわいいのかな。あの子たちしゃべらないからお話作るの無理そう。
 かわいくはなさそうω



・「じこどういつせいのきき」って?


禁欲生活で悶々としているのならば、運動で発散させよう。ということになり、妹に自宅から引きずり出されたまひろさん。既に体格、体力、筋力では妹に勝てず成すがまま。
運動ということで川沿いの歩道でランニングをするのですが、この時まひろさんは胸に痛みを感じます。原因は妹に渡された下着を着けていなかったこと。擦れて痛かったのですね。
その後、女性下着売り場まで連れてこられたまひろさん。店員さんのアドバイスに沿って自分に合った下着を装着するのですが……。そこで一言「自己同一性の危機だ~~~!」と。
最後の一線を越えてしまい、男性としての尊厳を喪失したまひろさん。コメディタッチで描かれてはいますが、その実お話が始まって以来最大のショックを受けているシーンとなります。


 自己同一性っていうのは、アイデンティティのことね。「自分って何者なんだろうか」っていう自意識のことだよ。それが危ない状態になってるってこと。
 あぶないのか?
 まひろちゃんの立場になってみてごらん。急に、望まない性転換をされて、更には女性しか着けない下着を無理やり着けられてるんだよ? 自分は男の子だって自意識が、周りの状況でゆらいでもおかしくないでしょ?
 うん。まひ姉泣いてた。すごくつらい状況なんだろうなって思った。なるほどなー



・お風呂屋さんで5分も髪の毛洗ってたけど、あんなに洗うのか? わたしはもっと短いぞ。あと正しいドライヤーの使い方ってどんなの?


<第2話 まひろと女の子の日>
自宅の給湯機が壊れてしまい、近所の銭湯に兄妹で行くこととなったまひろさんたち。そこで烏の行水のごとく数秒だけシャワーを浴びて浴槽に入ろうとするまひろさんを妹が引き止めます。
「待って待って!」「ちゃんと洗っただろぉ?」「髪の毛長いんだから、そんなんじゃダメ! いいわ……この際だしキッチリ教えたげる」「えぇ~……?」
ということで「正しいロングヘアの洗い方」を妹から伝授していただいているシーンとなります。このシーンで伝えられた概略としては
・髪を濡らす前にブラッシングをし、髪に付いた汚れを取る。        
・お湯で髪全体を濡らす。                        
・シャンプーを泡立ててやさしく揉むように髪を洗う。ゴシゴシ擦らないこと。
・すすぎはきちんと。5分はすること。                  
・毛先にじっくりトリートメントをする。                 
というもの。実際にはこの後しっかりトリートメントを洗い流す為に更に数分のすすぎが必要となります。
お風呂から出た後も、髪の水分をタオルに移し、タオルを当てた状態でドライヤーで乾かすという手間が必要です。
この後のお話でもまひろさんの髪は輝くような美しさを保っていますので、恐らくここで教わったことを一人での入浴時にもしっかり実践されているのだろうと思われます。


 ひなたはショートヘアーだからだよ。ロングヘアーの子はそのくらい時間をかけるものなの。ひなたもノアちゃん花ちゃんと一緒にお風呂入るから分かるでしょ?
 そういえば、のあとはなはわたしより時間かけて頭洗ってたな。あれのことか
 そうそう。シャンプーとかが髪のすきまに残ったままだとカブレたりするし、髪が傷んじゃうからネ。
 面倒だから短く切りたいけど、お姉さんが切った髪の毛欲しがるから切ってないだけ。
 べ、別に欲しがったりはしないよ? 捨てちゃうならもったいないなって思っただけで・・・。
 はいはいω あと、ドライヤーの正しい使い方っていうか、髪を傷めないためにタオルを髪の毛にかけて、その上からドライヤーかけたりするネ。
 これもすごい時間かかるから、直接ドライヤーかけちゃいたい・・・。
 せっかくきれいな髪の毛なんだから、ちゃんと維持しよう?
 はい・・・。ドライヤーでタオルを温めて、その熱で髪を乾かすイメージだよ。
 おおー わたしはタオルで髪の毛わしゃわしゃってして、みゃー姉いるときはみゃー姉にドライヤーしてもらってるぞ。
 うん。一人でお風呂入るときはどうしてるの?
 タオルわしゃわしゃのあと、ドライヤーでぶぉーってする。直接風あてちゃってる。
 んん、ヒナタちゃんの髪もとってもきれいだけど、そこちゃんとできればもっときれいになりそうだねぇ。今度いっしょにやってみよ?
 おう!



・まひ姉がトイレで絶叫してすずめが飛んで行ってたけど、あれはなんだったんだ? あとお赤飯はどう関係するんだ?


自室でTVゲームに興じるまひろさん。自然と「女の子座り」になっていることを妹に指摘され、「いかん、いかんぞ。俺は男らしさを取り戻す!」と意気込みます。
ところが「男らしさ、とは?」と自問してしまう始末。そこで、妹のアドバイスの元思いつく限りのことを試してみることに。
「たくましさ」「お姫様抱っことか」「ゲームで勝負!」などいろいろとやってみますが、最後に思いついたのは「筋トレだ!」ということで腹筋運動をするまひろさん。
しかしながら1ミリも上体が起き上がらずカウント0で敢え無く終了。その後起き上がるのですが、そこで腹部に激痛が走り、「早速筋肉痛が……いやこれ、気分まで悪くなってきたような……」とうずくまってしまいます。
妹が心配する中、その腹痛の原因を同じく二人で模索します。「女の子になってから一ヶ月近く経って副反応というのも……一ヶ月? あぁ……」と妹はすぐに気付いた様子。
「他に気になることない? 眠いとか」「眠いな」「だるいとか」「だるい」「胸が張るとかはない?」「胸? そう言われれば確かにちょっと痛いような」「お腹壊したときみたいな痛みとか」「そうそう、そんな感じ」
「また痛みが……ごめん、先にトイレ」と起き上がってお手洗いに移動するまひろさんに、「ま、待って!」と呼びとめる妹。
「なんだよ」「あの……その……えぇっと…… と、とにかく、気を確かにね!」「?」
この後、お手洗いの中でおろした下着を確認したまひろさんが真っ青となって絶叫する、というシーンとなります。


 えっとね。ひなた、これ。
 お? ほけんたいいくの本?
 そう。その、このページ。初経のこと書いてあるでしょ? まひろちゃんはこういう知識が何にもない状態で、いきなりこれが来ちゃったの。それで絶叫してたんだよ。
 そうだったのか。小学校でお勉強すると思うけど・・・
 ヒナタちゃん。この保健体育の授業してたとき、クラスのオトコノコは一緒じゃなかったでしょ? あれはアタシたちとは別のお勉強をするために、他の教室に行ってたんだよー。
 別のお勉強してたのか。それなら、まひ姉も知らなくて当然だったんだな。
 そうだね。「なんで知らないの?」じゃなくて「知らなくて当然」だと考えてあげて。・・・まぁ、まひろちゃんも成人男性だからこの辺りは本当は知ってないといけないとは思うけど・・・。
 それで、おとこのこたちは何のお勉強してたんだ? お赤飯はなんで?
 アタシもオトコノコたちのお勉強の内容は分からないなー。でも、お赤飯は「おめでたいときに作るもの」っていうのは知ってるよー
 うん。お赤飯は昔から、おめでたいことがあった時に炊いてたものだよ。女の子にとって初経が来るってことは、とってもおめでたいことで喜ばしいことなんだよ?
 なるほどなー。わたしはまだ来てないけど、お赤飯たのしみだな!
 こらひなた。そういうのは口に出しちゃダメだよ。どの子が初経がまだとか、もう来てるとか、そういうのはとてもセンシティブなことだから公にしないの。いい? 授業でも習ったでしょ?
 わかった。ごめんなさい。 でもそっか。いつなってもいいように、この小さい袋いつも持たされてるんだった。使わないから忘れてたぞ
 うんうん。いつなってもいいように、今度いっしょに使い方のおさらいしておこう? ハナちゃんもネ
 うん



・ぎゃるってなんだ?


<第3話 まひろと未知との遭遇>
自室から一番近い、2階のお手洗いに駆け込むまひろさん。そこには見知らぬ先客が入っており、未知との遭遇を経験します。
このピンク髪の女性は妹のみはりさんと同い年の高校生であり、穂月かえでさんです。みはりさんとは中学時代からの親友です。
まひろさんはかわいいもの好きのかえでさんに捕獲されてしまい、見た目が派手なことからまひろさんはすっかり怯えてしまいます。
「かえでだよー よろしくねー」「(みはりの友だちにしては少し派手な……ギャルってやつか? 自宅警備員には荷が重すぎる~~)」
捕獲されたまひろさんは、座り込むかえでさんの足の間にちょこんと収まりながら心の中で叫ぶのでした。
出会いはこのようなものでしたが、かえでさんの持つ天性の「お姉さん気質」に惹かれ、まひろさんはどんどんとかえでさんに対し「お姉ちゃんっ子」のように懐いてゆくのです。


 ギャルは、なんだろ。オンナノコのことだよねぇ?
 ギャルっていうのは、何歳から何歳の女の子って決められてるものじゃなくて、見た目とか性格のことかな。明るく社交的な性格をしていて、身なりがちょっと派手目のメイクやつけまつげをしていたり、最先端の流行を取り入れたお洋服の着こなしをしてたりするね。
 みゃー姉もぎゃる?
 正反対だと思う・・・。でも、お姉さんみたいにあんまりお化粧しなくて、いつもジャージな人が、たまにお化粧したりきれいなファッションだったりするのいいよね。
 ギャップあってカワイイよねぇω
 ちょ、私のことはいいから・・・。



・チャーハン作るときに卵入れてからベーコンいれてたけど、逆じゃないか?


ひとつ前のお写真では、炊飯器の蓋をかえでさんが開けています。このシーンではみはりさんが大学の課題を終わらせる為という名目で席を外し、かえでさんとまひろさんを二人きりにしていました。
続けてこちらのお写真ではかえでさんがお昼ご飯を作っています。勝手知ったるみはりさんのお宅、といった様子で冷蔵庫の中から適当にお昼を作れそうなものを取り出していきます。
炊飯器の中のご飯、冷蔵庫の中のベーコン、卵、レタス。これらを使って手際よくレタスチャーハンを作るかえでさん。その見事な手さばきに、料理のできないまひろさんはただただ見惚れるばかり。
みはりさんが戻らない中、かえでさんと二人きりの昼食。チャーハンのお味もおいしかったらしく、気の緩んだまひろさんは「(なんかこの感じ……ちょっと、あり、かも……)」と笑顔をこぼすのでした。

かえでさんのチャーハンの作り方を見ると、フライパンを熱し、油を入れ、溶き卵をそこに投入しています。卵を軽く炒めた後刻んだベーコンを入れ、ご飯も投入。最後にレタスをちぎりながら入れて完成。というものでした。


 うん。いろんな作り方があるけど、私なら最初にベーコンを炒めて脂を出してから他の具材を炒めるかな・・・。ベーコン>お野菜>卵>ご飯の順。レタスチャーハンの時は、レタスは最後だけどね。シャキシャキ感がなくなっちゃうから。
 ちょうどお昼ですね。(じゅるっ)
 ミャーさんのチャーハン食べてみたーい☆
 みゃー姉のチャーハンは世界一おいしいぞ! な、みゃー姉!
 なんか作らないといけない流れに・・・>ミ うん、じゃあみんなで一緒に作ろうか。



・まひ姉、おもらししすぎじゃないか? わたしより年上だと思うんだけど


ショッピングモールにある映画館にて、話題の新作を見に行くことになったまひろさん兄妹。待ち合わせ場所にかえでさんも登場し、3人でショッピングを楽しむことに。
映画の始まる時間よりかなり早くに集合した為、いろいろなお店でファッションを中心に見て回る3人。途中、タピオカミルクティーを嗜みながらまひろさんも何とかショッピングを乗り切り、いざ映画館へ。
ところが、映画館の中は冷房が効きすぎていました。みはりさんが手のひらで腕をさする程度には冷えている中、お手洗いを我慢できなくなったまひろさんは上映の最中単身お手洗いへ。
そこでまひろさんが見たものは、長蛇の列を作る女子トイレでした。「なん……だと……?」と絶望しながらも列に並び、なんとか我慢しようとするも個室に入った瞬間に間に合わずおもらしをしてしまうのでした。
ここで助けに来てくれたのはかえでさんでした。「みはりには内緒だよ?」と言いながら、替えの下着を買ってきてくれました。より一層、頼れるお姉さんとしてかえでさんはまひろさんの中で定着したのでした。


 あのね、ひなた。まひろちゃんは男の子の感覚のまま女の子として過ごしているから、こういう失敗は仕方ないと思うよ。女の子のほうが膀胱が小さく尿道も短いし、体のつくりが女の子はストレートだからどうしてもおもらししやすいの。
 ひなたもだし、私たちがトイレ失敗しないのは、生まれた時からずっと女の子だし、感覚つかめてるからだよ。
 おおー、そうだった。まひ姉は急におんなのこになったんだった。あんまりかわいいからつい忘れちゃうぞ。そっか、おとこのこのほうががまんしやすいんだなー



・じぇーしーって? あと、ゆりってコミック百合姫と関係ある?


<第4話 まひろとあたらしい友達>
お写真は掲題の「コミック百合姫」の表紙サンプルとして、2023年5月号を載せております。
おにまい! の作中で「百合」という言葉が出てきたのはこの第4話が初めてでした。この第4話にて、かえでさんの妹である「穂月もみじ」さんが登場します。
もみじさんのキャラクター設計は複雑で難解なものであり、一言で言うならば「ボーイッシュな少女」ということになります。その為、まひろさんのもみじさんに対する第一印象は「頼れる男の子」というものでした。
シチュエーションとしては、みはりさんのお使いを(ゲームで負けた)まひろさんがすることになり、一人でスーパーマーケットに入れず座り込んでいたところに「大丈夫?」と声をかけてくれたのがもみじさん。というものです。
買い物メモを見ながら買い物を進め、「じゃがいもはあんまりデコボコしてなくて、皺のないのがいいよ」「にんじんは色が濃くて芯が小さいとおいしいんだって」と、慣れた手つきでもみじさんが主導していきます。
それを非常に頼もしく感じるまひろさん。もみじさんへの好意が高まったところで、他の買い物客の「あの子たちカップルかなぁ」という声が聞こえ、急に自分たちの状況を意識してしまうまひろさん。
この時のまひろさんはもみじさんのことを「男の子である」と思っている為、自分はかわいい身なりながらも芯は男性であるという自意識から「違う! これはなにかの間違いだ~~!」と動揺します。
しかしその後、お店の前でかえでさんと遭遇。もみじさんがかえでさんの「妹」であり「女の子である」ことを確認すると、ほっと安堵するのでした。
その夜、みはりさん作の肉じゃがを食べながらもみじさんのお話をした際、「危うく道を踏み外すかと……」とまひろさん。それに対しみはりさんは「うえぇ? お、お兄ちゃんのロリコン!」と一喝。
「今は俺も見た目JCだろ? ……お? それじゃこれが百合なのか……?」と、まひろさんは少し自分のことが分からなくなるというシーンにて登場するセリフでした。


 JCは「JoshiChuugakusei」の略だよ。和製英語だね。同じように、JSは女子小学生、JKは女子高校生、JDは女子大学生のことだよ。
 おおー! じゃあ、じぇーでぃーのみゃー姉と、じぇーえすのわたしたちか!
 そうだね。でも、あんまりきれいな日本語じゃないから、日常生活では使わないようにね。
 百合というのは、コミック百合姫の百合のことで合ってるよ。ここでまひろちゃんが言ってるのは、「女の子同士で恋愛関係のお付き合いをする」こと。もみじちゃんとのことをそう捉えてるまひろちゃん、かわいいね。
 百合:女の子同士の恋愛 薔薇:男の子同士の恋愛 って言葉があるよ。さっきのBLは薔薇のことで、GL(GirlsLove)は百合のことだね。



・えっちな本だって。みゃー姉の作ってるはなの写真集みたいなものか?


ある日まひろさんがリビングに降りると、かえでさんともみじさんがいました。かえでさんはみはりさんにお勉強を見てもらおうとしていた為、もみじさんのお相手をまひろさんがすることになりました。
いつも通りの乱雑な自室のままではお招きできないと、数分で応急処置的に本棚に布を被せたり、見せたくない書籍を押し入れに押し込んだりと頑張るまひろさん。ようやくもみじさんをお招きすることができました。
かわいいもの好きでスキンシップが多めなのは穂月家の血なのでしょうか。すぐにもみじさんからのじゃれあいに発展するお二人。
くすぐられて息も絶え絶えになるまひろさんは体勢を崩して押し入れにぶつかり、中に押し込んでいた書籍が出てきてしまうのでした。
成人向けの書籍を見たもみじさんは、「まひろちゃん、あのぉ……それって……それってぇ…… えっちな……」と問いかけます。一方のまひろさんは一生懸命に考え、「これはお兄ちゃんの!」と弁明するのでした。
つまり、緒山真尋さんが長男であり、緒山みはりさんが長女、緒山まひろさんは次女であると。この瞬間に対外的な家族構成が生み出されたのでした。


 違うよ!? 花ちゃんの写真集は、今の花ちゃんのかわいい姿を残しておきたくて作ってるものだからね?
 ・・・ありがとうございます。将来また見せてくださいね。それで、その。えっちな本っていうのはどんなのなんですか?
 えぇ・・・えっと。これ難しいな・・・。私は持ってないんだけど、その名の通り「読む人がエッチだと感じる本」のこと・・・かな。 ね? ノアちゃん。
 えー そこでアタシに振るの!? うーん。そうだなー ミャーさんの言ってることで正しいんじゃない?
 そうなのか。たとえば?
 具体例!? ええっと・・・ こ、これは人によるから、具体例はないよ・・・。
 ひなた。たぶんだけど、ひなたが「なんかえっちだな」って思うときのシチュエーションが書かれてる小説とか、漫画とかがそうなるんじゃない?
 おおー なんかわかってきたかも。わたしとのあが抱き合ってたり、ちゅーしてたりするような本ってことだな。
 なんか具体的すぎてハズカシイ・・・>ω<
 おとーさんのオペラとか!
 あー・・・ 確かにえっちなシーンあったね。じゃあ身近なえっちな本はお父さんのってことで。
 えぇ、いいのかな・・・。なんだかお父さんごめんなさい>ミ



・押し倒されてるまひ姉に、みは姉が「そういうの普通逆じゃない?」って言ってたけど、なんか逆だったのか?


先ほどの「これはお兄ちゃんの!」という弁明の後、「なるほどね。でも……さすがにこれはよくないよ! せめてえっちな本は片づけよ? 私も手伝うから」とおっしゃるもみじさん。
部屋の片隅に空き段ボール箱を見つけたもみじさんは、それに部屋中のえっちな本を集めて収納します。「できればジャンルごとに……」とつぶやくまひろさんの声には耳を貸さず、ガムテープにて封印します。
「あとはこれをクローゼットに」ということで一人で段ボール箱を持ち上げるもみじさん。しかし、一杯に書籍を収納した段ボールは重たいもの。手伝おうとしたまひろさんは床の布団に足を取られ、もみじさんと揉み合う形に。
ドターンと、家中に響く振動にてみはりさんが部屋に駆け付けた際、そこで目にした光景は「もみじさんに押し倒されているまひろさん」だったのでした。


 あれアタシもよく分かんなかったなー。ミャーさんどういう意味?
 あれはたぶん、お部屋にお招きした側の人が、お招きされた人を押し倒すっていうのがセオリーだからじゃないかな・・・。お招きしたまひろちゃんが、お客様のもみじちゃんに押し倒されてたでしょ?
 そっかー それならそういうことなんだネ。
 かのんとこよりは入れ替わりのお話の時に交代しながら押し倒してたけど、最初はこよりの部屋でこよりをかのんが、最後はうちのリビングでかのん入りこよりをこより入りかのんが押し倒してたな。
 あのお話はそういうセオリーより、「どちらが押し倒すか」って位置関係が大事だったから、あんまり場所のことは気にしてなかったんだと思うよ。
 なるほどなー。
 お招きした人が、お招きされた人を・・・。
 ・・・花ちゃん?
 いつもお姉さんのおうちに行っているので、お姉さんに私が押し倒されることになるのかなって想像してました。
 う えぇ  いや、そんなことはしないよ!? 大丈夫だから安心して? ね?
 はい。お姉さんにそんな勇気はないと分かってるので。
 ・・・ハナちゃん、それサソイウケしてる?
 さそいうけ?
 んん、なんでもなーいω



・ゲームコーナーにいたおじさんはなんだ? すごく怖かったけど


<第5話 まひろと補導とお誘いと>
まひろさんの推しアニメ「魔法艦隊ラブ☆マスター」のコンビニコラボレーションとして、対象商品をいくつか購入するとクリアファイルをもらえる、というキャンペーンが始まりました。
数量限定の為、朝早くに起きて朝食も自分で作って食べ、いざコンビニへ! と意気込むまひろさん。結局、駅前のコンビニまで行くことになりましたが、無事にお目当てのものは手に入ったようです。
駅前の繁華街ということで、久しぶりにゲームセンターに寄っていくことにしたまひろさん。プリクラやリズムゲームなどで楽しんでいたのですが、背後に男性の気配を感じて怯えきってしまいます。
リズムゲームをプレイしていた際のことでしたので「音ゲー女子を狙ったナンパ」だと思っているまひろさん。恐る恐る振り返ってみるとそこには中年男性が立っており────というシーンです。


 あの人は「補導員」ってお仕事をしている人だよ。子どもが非行に走らないようにしている人だね。
 やっぱり、ゲームコーナーで遊ぶのってダメなのか?
 ひなた。まひろちゃんは平日の昼間にひとりで遊んでいたからだよ。普通は学校に行ってる時間だし、大人の人もついていなかったから声かけられたんだと思う。
 そっか。具合悪くて早退したらおうちに帰るし、やっぱり平日昼間っていうのがダメなんだな。
 あの時、どうやって切り抜けたんだろうねぇ。通ってる学校もないし、ご両親も海外に行ってる?みたいでいつもいないし。
 みはりちゃんに電話して、補導員さんとお話してもらったんじゃない? あの状態のまひろちゃんにどうにかできるとは思えないし。



・あさ姉も言ってたけど、「アレ」ってなんだ? なんかまひ姉、誤解されちゃってたみたいだけど


<第6話 まひろと二度目の中学生>
前回補導されそうになり、ますます外出が減ってしまったまひろさん。家の中でゴロゴロするまひろさんにみはりさんが「どうせならお外で遊びなさい」と小言を言うも「また補導されたらどうするんだ」と。体の良い理由に使ってしまう始末。
困ったみはりさんはついに「まひろさんを二度目の中学生にする」という策を実行してしまいます。困惑するまひろさんでしたが、事前に顔合わせを済ませていたもみじさん、桜花あさひさん、室崎みよさんが水先案内人となり平穏な学生生活を送ることに。
体育の授業にて「今月はずっと持久走をする」と知ったまひろさん。体を動かすことが苦手な為、過敏性腸症候群様の症状が出てしまいます。つまり、あまりにも嫌過ぎてお腹が痛くなってしまうのでした。
周りの状況を見ることに長けているみよさんがまひろさんの様子を見て、体育教官に「先生、緒山さんが……」と進言。まひろさんの理解が追いつかないまま、体育の授業を見学することとなったのでした。
まひろさんはみはりさんと練った「病弱という設定が活きたな」くらいに考えていたのですが、みよさんから「アレの予備とか大丈夫? 困ったら言ってね」と言われ、ようやく「あっ!」と真実に気付くことになるのでした。


 これもトイレで絶叫してたのと同じだよ。女の子は月に数日、体育の授業を見学しないといけないくらいお腹が痛くなるの。女の子はみんなひなたと同じように小さいポーチに入れて持ち歩いてるんだけど、サイクルもずれることがあるしうっかり持ってきてないこともあるから、たぶんその予備のことを言ってるんだね。
 えっと、つまりその小さい袋に入ってるもの=アレってことだよ。みよちゃんはそれの予備があるかを心配してくれてたんだね。
 おおー これか。トイレットペーパーでもいいと思うけどなー
 持ってない時はそれも代用にはなるけど、やっぱりちゃんと予備は持ってないと。トイレットペーパーは必ずしも清潔とは限らないし、肌がかぶれたりするからね。
 わかった! まひ姉が誤解されちゃってたのは、そうじゃないのにみよ姉にそうだって先生に言われちゃって、見学になったってことか。
 そういうことだね。



・テストの勉強してるとき、みは姉がまひ姉のことにらんでた。あれは?


<第7話 まひろとロールプレイ>
もみじさんと自室で試験対策のお勉強をしているまひろさん。もみじさんはまひろさんの答案を見て、全問正解していることに驚愕します。「休学中はお姉ちゃんに勉強みてもらっててぇ~……」とはぐらかすまひろさん。
「お姉さん博士だもんね」と簡単に信じるもみじさんのところに、ご本人であるみはりさんが手作りクッキーと紅茶の差し入れを持って登場します。「数学って嫌だ……Xとか出てきて」と嘆くもみじさんに寄り添い分かりやすく教えるみはりさん。
一方のまひろさんは二人の様子を見ながら、「(こりゃあ 試験で無双できるかも!)」と内心ほくそ笑みます。
みはりさんのクッキーを指で空中へと弾き、口で受け止めるというお行儀の悪いことをしてしまうまひろさんでしたが、キッ とみはりさんに睨まれ、思わず背筋を伸ばすのでした。


 みはりちゃんが心をこめて作ったクッキーを、指で弾いて飛ばしながら不真面目に食べていたでしょ? あれは怒ると思うよ?
 それに、ここが伏線になっていて。このお話のラストで調理実習で作るクッキーをまひろちゃんからみはりちゃんにプレゼントするってとこでこれが回収されるから、ひなたみたいに「なんだ?」って引っ掛かっておいてほしいんだと思う。
 紅茶のクッキー、おいしそうだよな。すごくいい匂いしそうだから、みは姉もきっとよろこぶぞ!



・ゲーム禁止! ってラベル貼ったすぐ後の授業中に、ゲームのメモ書いて「早く帰って続きがしたい」って言ってた。反省してないぞ?


テスト対策の勉強をしていなかったまひろさんは、結局惨敗で補習を受けることとなってしまいました。
数学:余裕すぎて眠くなってしまい居眠り。5割ほど空白のまま提出。   
社会:年号などの暗記問題に躓き不正解。                
理科:数学はできても植物や地層などの暗記問題で躓き不正解。      
国語:現代国語だけでなく古文も含まれるらしく、そこで躓き不正解。   
英語:オンラインゲームをしているからでしょうか。英語はできたとのこと。

みはりさんはまひろさんが成人男性であり、二度目の中学生であることを知っていますので、この試験結果に眉を引き攣らせていました。
しかし、まひろさんが自発的に「ゲーム禁止」を自らに課し、暗記を中心に復習をしている姿を見て、「お小遣いは微増とします」と。
なんだかんだとまひろさんには甘いみはりさんなのでした。


 「暗記科目(で点が取れなかったの)はちょっと悔しい。少し覚え直しておくか」って言いながらラベル貼ってたから、そこはもう覚え直せたってことじゃない? 次のテストまでゲーム禁止ってことじゃないと思うー
 そういえばそうかも。まひ姉頭よさそうだから、すぐ覚えられたんだろうなー
 いい? まひろちゃんを反面教師にして、みんなはちゃんと中学生になったらテスト勉強はするんだよ? 分からないところは教えてあげるから
 はい
 はーい☆
 おう!



・がしんしょうたん? かんなんしんく? とうげんきょう?


<第8話 まひろとはじめての女子会>
「臥薪嘗胆 艱難辛苦を乗り越え、辿り着いた桃源郷。思う存分、休み尽くすぞぉ~!」と、ソファーに横になりながら冬休みへの期待を膨らませるまひろさん。少しだけ釈迦涅槃像にも見える体勢ですね。
「これじゃまたダメ人間になっちゃう」と危惧したみはりさんは、先回りしてかえでさんに連携。「もみじちゃんたちに今日泊まりに来れるか聞いてもらえる?」と。数秒で「OK!」と回答が戻ってきてみはりさんの策略は動き出すのでした。


 臥薪嘗胆は「薪の上に寝て(臥薪)、苦い肝を舐める(嘗胆)」って意味。元々は仇討ちをしようとする人が、自分に課した労苦のことだったみたい。
 艱難辛苦は「ひどくつらい目に遭うこと。困難な目に遭うこと(艱難)。それにより苦しむこと(辛苦)」って意味。四字熟語は漢字の持つ意味がそのまま言葉の意味になってることが多いね。
 まひろちゃんとしては、女の子になってからの学校を含めた生活はそのくらい大変だったってことを言いたいみたい。だから、それを乗り越えられたごほうびとして「冬休みは休みつくすぞー」だったんだろうね。
 ちなみに桃源郷は単純に桃の産地のことでもあるけど、普通は「理想郷」って意味合いで使うよ。冬休みはまひろちゃんの大好きなだらだらした時間を過ごせる理想郷なんだね。
 はー・・・。お姉さんがちょっとだけ本物の大学生に見えました。
 大学生だよ>ミ
 むずかしいことばが続いて出てきたなーって思ってた。みゃー姉ありがと!



・あさ姉、そんなにわたしと似てるか?


<第7話 まひろとロールプレイ> より、桜花あさひさんのお顔。
自分の好きなゲームをもみじさんたちはあまり知らないことが分かり、「女の子って、普段なに話すんだ……?」と、昼食時に思わず心の声が漏れてしまい慌てるまひろさん。
しかし、そこでお隣に座るあさひさんが「気にせず好きなこと話せばいいぞ。ゲームの話してるまひろん(※)、楽しそうでかわいいぞ!」と。
この一言により、まひろさんの心はとても軽くなり、周囲の同意も得られた形で好きなゲームの話をすることができたのでした。

※「まひろん」とはあさひさん流のまひろさんのあだ名。みよさんは「みよちん」だったりします。「みゃー姉」のように独自の呼称ルールがある点もひなたさんと似ているかもしれません。


 んー、確かに八重歯だし、オレンジ色だし、元気っ娘だし、足も速いし、無邪気だし、パフェあーんして分け与えたり、語尾が「~だぞ」だったり、寝相が悪かったり、ヒナタちゃんに近いところはいっぱいあると思う。でもネ
 のあ?
 ヒナタちゃんは、誰かが嫌がるって分かってることは絶対しないでしょ? アサヒちゃんはモミジちゃんが怖がるの知ってて怪談話してたから、そこだけは違うって声を大にして言いたい☆
 ・・・そうだね。そこはノアの言うとおりひなたと違うところだね。 というかノア落ち着いて。 どーどー
 あともういっこ! アサヒちゃんは乙女だけど、ヒナタちゃんはイケメンだから!
 へへっ のあ、ありがとな!
 うーん。でもあさひちゃんのもみじちゃんに対する絡み方は、好きな子にちょっかいを出してるような感じにも見えるんだよね。
 そんな感じもしなくはないですけど・・・
 ほら、二人の小学生時代の出会いのお話やってたでしょ。あれ、あさひちゃんにとっては初恋のエピソードだったんじゃない? もみじちゃんが男の子だと勘違いしたうえでのものだったけどね。


<第8話 まひろとはじめての女子会> より、小学生時代のあさひさんともみじさんの回想シーン。
男の子に混じってサッカーに興じるお二人。男子顔負けのシュートを決め、二人で喜び合っています。所謂「竹馬の友」であったことを分かりやすく表現しています。
この後、自宅が近いもみじさんが「お風呂入ってく? 一緒に入っちゃっていいよね?」と。「えっ!?」「べ、別に平気だぞ。いつもにいちゃんと入ってるし……」とどぎまぎしながら、乙女の恥じらいを持って答えるあさひさん。
これはつまり、この時まであさひさんはもみじさんのことを「男の子」であると思っていたということになります。その前提に於いて、自らも気づかない淡い恋心をもみじさんに抱いていたのではないかと推測できます。


 そうそう。さっきアタシが「アサヒちゃんは乙女」って言ったのはそこの部分。アサヒちゃんは自分でも気づいていないけど、モミジちゃんに恋してたんだと思うの。サイドテールを結んでもらってすごく嬉しそうだったしネ。
 そうなると、ほら。女子会でお泊りしたときにあさひちゃんが無理やり怖い話をしてたのは、やっぱり無意識のうちに恋心を抱いているもみじちゃんにちょっかい出したいって気持ちがあったからじゃないかな。
 んー。おにまいのお話見てると、まひ姉ともみ姉がカップルさんみたいに描かれてると思うんだよなー
 うん。それも正しいと思うよ。小学生のころは恋だと意識できなかっただけで、あさひちゃんへの想いも、中学生になってから登場したまひろちゃんへの恋心も、どっちももみじちゃんは大切にしてると思うな。
 小学生のころに一緒にお風呂入って、モミジちゃんがオンナノコだって分かったけど、でもそのあともずっとおんなじように仲良しさんだもんネ。
 そっか・・・。あさひちゃんがまひろちゃんにパフェをあーんてしたとき、もみじちゃんが怖い顔してスプーンを奪ってたけど・・・。あさひちゃんが自分以外の人にそういうことをするのが嫌だった、のかも。
 イイネ、恋バナっぽい☆ 正しいかは置いておいて、そういう考察って大事だよねぇ。ホラ、その人の感情を推測するっていうか。お話作るのにも役立つよー


※編集注 おにまい!原作商用3巻の巻末に、「あさひともみじ」というタイトルの小話が追加されています。こちらはアニメの女子会の入浴中に語られた上記絵のお二人の出会いのエピソードなのですが、原作ではまひろさんたちの感想として「初恋だったのでは…?」と明言されています。


小学生の頃のあさひさんは、もみじさんのことを「男の子」だと思って接していたことが明かされるエピソード。
もみじさんの「ちょんまげ」に感化されて自分も髪を束ねると言うあさひさんの髪を、もみじさんが両サイドで束ね「…ほらかわいい!」と伝えます。あさひさんはこれを受けて頬を紅潮させて喜んでいました。
更には、「もみじはなんか特別だ!」というあさひさんのモノローグが入ります。
現在もその髪型を維持していることから、恐らく幼すぎて意識できていなかったけれどもそれは「初恋という感情だったのでは」というみやこさんの説が正しいように思えます。

もっとも、「おにまい!」に於いては「男女だから恋が成り立つ」という次元は軽々と超越したフィールドで物語が展開されています。
(何しろ、主人公の性別という基本的な事柄が「観測上で成り立つ存在X」という、量子力学における観測者効果に影響されるレベルの曖昧模糊とした概念ですので)
その為、あさひさんもみじさんが女の子であると知り驚きはしたものの、その後も変わらない関係をもみじさんと続けていることから「今も当時の気持ちのままなのでは」という考え方も可能かと思われます。
あさひさんが本当はどう思っているのか。その辺りが推測しにくい点もある意味で「星野ひなたさんと似通っている」と言えるかもしれませんね。






・ふじょし? ってなんだ?


<第10話 まひろとおっぱいとアイデンティティ>
みはりさんのお使いで、書店にてお買い物をするまひろさん。そこで邂逅したのは室崎みよさんでした。場所が成人向けコーナーの前でしたので、「まひろちゃんってそっちの人だったのね」と誤解されてしまうのですが、これはまひろさんの早とちり。
本当は成人向けコーナーの手前にあるBLコーナーを物色していたと思われたらしく、「てっきりBL好きな腐女子かと」と。こちらも結局誤解ですので「そっちかーい!」とツッコミを入れるまひろさん。
「その……これは秘密、なんだけど……。実は私、女の子同士とか好きでぇ……」と吐露するみよさん。分類上「姫女子」であることがここで正式に判明するのでした。
もっとも、その姫女子ぶりは第6話のみよさん初登場時から全開かつダダ漏れでしたので、まひろさんと同じく「知っとるわーい! いつ隠してたの?」と全視聴者がキレのよいツッコミを入れたことでしょう(苦笑)


 これは・・・えっと、これもスラングかな。腐女子って書くの。
 婦女子じゃないんだー?
 その婦女子をもじって腐女子って書くんだよ。みよちゃんはまひろちゃんのことを「てっきりBL好きな腐女子かと~」って言っていたでしょ?
 言ってたな。18って書いてあるのれんの横にある本を指さしてたぞ。
 うん。これもまた分類のお話になるんだけど、「BLが好きな女の子=腐女子」「GLが好きな女の子=姫女子(百合女子)」って分けてるみたいだよ。
 えっと、BLはおとこのこどうしの恋で、GLはおんなのこどうしの恋だから・・・ みよ姉は姫女子で合ってるか?
 合ってるよ。例えばだけど、おにまいのお話には登場しないけど「千川みなとくんと桜田ゆうたくんっていつも一緒にいるよね。二人が恋仲だったらきゅんとしちゃうなぁ」って目線で見られる人が登場したら(※)、その人は腐女子ってことだね。


 なるほどなー。姫女子のほうはきれいな文字なのに、腐女子のほうはなんで腐ってるって文字なんだろう。
 これは言葉の由来からかな。腐女子の人たちが自分たちのことを「男の子同士の恋が好きなんて、私たち腐ってるよね~」みたいな自虐的な目線で見て、「婦女子」をもじって「腐女子」って呼び始めたからみたいだよ。


※編集注 「おにまい!原作商用7巻 第65話 まひろと魅惑の文化祭」を始め、クラスのまとめ役として活躍している学級委員長のこちらの女子生徒。(中段右側の黒髪ショートヘアー)


こちらの女子生徒は「あおいさん」というお名前でして、実は公式に「BL好き」であると明言されています。つまり「腐女子」ということになります。


性の多様化が認められつつある現代、「LGBTQQIAAPPO2S(長いのでLGBTQ+でも可)」など多くの有り様が存在します。
「おにまい!」に於いてはこのうち「L」と「T」が明示されています(Lは女性同士の恋、Tはまひろさんの性転換Transsexual)。
観測される側の「L」であるまひろさん、もみじさんたち、観測する側のみよさんとあおいさん。男性同士の「G」についてはあおいさんの妄想の中だけでの登場となっていますが、非常に受け口と許容範囲の広い作品であると感じています。
(まひろさんともみじさんの関係性を「L」と定義してよいのかは非常に迷います。
 身体的なことで言えば確かに「L」ですが、まひろさんの性自認は男性でありもみじさんも男装を好み「女の子らしくてかわいいまひろさんとカップルに見られたい」願望があるように見えますので内面は男性寄りと推測できます。
 「JCと百合」の項に記載した通りもみじさんのキャラクター設計が複雑で難解なのは「胸が小さいことを憂う感情を持つ」点です。この点は非常に思春期の乙女らしいと言え、内外面共に非常に女性らしい存在と言えるのですが……)

もっとも、まひろさんのTranssexualについてはフィクションとしての性転換ですので、現実世界の分類に当てはめることは難しいかもしれません。
この作品の見かたとしては、かわいい絵柄の少女たちが、ふわふわとかわいい出来事を織り成していく様子を、難しく考えずに見守るのが正解なのかもしれませんね。(ついつい難しく考えてしまいがちで……)






・まひ姉が好きな「りょーじょくけい」って?


<第10話 まひろとおっぱいとアイデンティティ> より、みよさんがまひろさんにお勧めした「百合系作品」
「百合系もあり寄りのありだよー」と言うまひろさんに、みよさんが「ほう・・・」とお勧めの書籍を何冊も渡すシーン。
これらはすべて一迅社の書籍です。一番下の緑色の書籍が「私に天使が舞い降りた!1巻」であり、一番上のオレンジ色の書籍が「私に天使が舞い降りた!2巻」となっています。
他作品は1冊ですので、みよさんも「わたてん!」は一押しの作品なのでしょうね。


 ・・・もうこのアニメ、R18にしたほうがいいと思う・・・>ミ
 ミャーさん?
 えっと・・・ うーんと・・・ どうしよう。これ、最初に出てたエロティックな作品の、ジャンルのひとつなんだけど・・・。
 あーω じゃあ、ヒナタちゃんやっぱりまだアタシたちには早いってことみたいだよ?
 そうなのか。まひ姉わたしたちよりひとつ上くらいなのになー
 ひなた。まひろちゃんはもともと成人男性でしょ。だから13歳の女の子が知らないことも知ってるし、それが普通なんだよ。
 なるほどな!
 ううーん、強いて言えば・・・ 小学校から中学校の男の子って、好きな女の子にいたずらをしたり、スカートめくりとかしたり・・・女の子が嫌がることをしちゃうことってあるでしょ?
 私たちは経験ないですけど、そういうのもあるみたいですね。
 そういうのの延長線上にある、いたずらっていうより精神的・肉体的に暴力に近いことを好きな相手にしちゃうことを「凌辱系」って言うみたいだよ。
 ふーん。でも、好きな人からはやっぱりやさしく扱われたいなーω
 それが普通だよ。だから、このジャンルは人としてやっちゃいけないものだと覚えておいて。まひろちゃんがうっかりみよちゃんに言いそうになったけど、すぐごまかしてたでしょ? 世間一般的に口に出しちゃいけない言葉だからね。
 のあのことはちゃんとやさしくしたいぞ。それと、説明しにくいことばっかり聞いちゃってごめんな、みゃー姉。
 う、ううん。でも、この作品に出てくる言葉を全部理解するのは大変でしょ? だから本当はまだひなたたちには早いってことなの。
 絵はとってもかわいいのに、難しいですね。
 そういえば前に、のあに縛られたことあったな。あれもりょーじょくけいか?
 ・・・え? ノアちゃん?
 あー・・・ うん。学校で、なわとびでヒナタちゃんの両手を縛ったことならあったよ? すぐほどいたけどネω





「第5話 いいから私にまかせなさい!」より。休み時間だけでなく授業の時間も手を縛っていた為、担任の山中先生を困惑させてしまった夏音さんとひなたさん。


 どうしてそういうことになったの?
 あれは、こよりがかのんの両手をなわとびで縛ってたからだな。
 なんて高度な・・・。その時、ひなたとノアちゃんはどう感じた?
 んー、動けなくなって不便だったけど、なんかドキドキしたな。のあにしてもらったからかも
 アタシも、コヨリちゃんたちの見てたらヒナタちゃんにしてみたくなっちゃって。なんだかドキドキしちゃったω
 ・・・お姉さん、こういうことですか?
 そうだねぇ・・・。素質あるのかも・・・。
 ?
 ?



・なまものはほどほどにだって。クレープのことか?


書店を出た後、クレープ屋さんでもみじさんとあさひさんも合流しいつもの4人組に。
所持金がなくクレープを買えないあさひさんに、まひろさんともみじさんがクレープを分け与えている様を見つめるみよさん。
「やっぱり私は、見てるのが好き」と、まひろさんに宣言されます。そんなみよさんに「けど、なまものはほどほどにね」と釘を刺すまひろさんなのでした。


 確かにクレープ屋さんでの会話だけど、クレープのことじゃないよ。生で出したら営業できなくなっちゃうよ。
 ナマモノってなんだろー?
 えっとね、さっきも出てた百合(GL)を取り扱う作品の中の話だけじゃなくて、現実世界に存在する人(身近なお友だちや歴史上の人物)の恋愛のことを「なまもの」と言うみたい。
 じゃあ、アタシとヒナタちゃんはナマモノなの?
 そういうことになるのかな? 原典の「わたてん!」の中のひなたとノアちゃんの恋は百合、こっちのひなたとノアちゃんの恋はなまもの・・・かな?
 おー それはお友だちの恋を応援するってことだから、いいことじゃないか? なんでほどほどに、なんだろう。
 うん。なんでだろうね
 うーん・・・。例えばだけど、みよちゃんのようにひなたたちのことを身近で見ている人がいたとして。その子がひなたたちを題材にした「ひなた×花ちゃんのラブラブ漫画」を作って販売したら、どう思う?
 え 私とお姉さんじゃなくて、ひなたなんですか? それは・・・うーん。ラブラブってところが引っ掛かるかな。ノアになにか言われるだろうし、そういうのならお姉さんとがいいな・・・。
 そうだなー そういうの作るなら、わたしとのあで作ってほしいな!
 ひ、ヒナタちゃん・・・(トゥンク)
 そうなるよね。花ちゃんも、ひなたも、そういう本を作った人にひとこと言いたくなるでしょ?
 そうですね
 うん
 だからまひろちゃんは「ほどほどに」って言ってたの。みよちゃんは「見る専門」だから、創作物を作って販売したりはしないと思うけど(※)、そのうちさっきみたいに出版して題材になった人が不快に思うかもしれないでしょ?
 よく分かりました。そういうことなんですね
 なるほどなー まひ姉はやっぱいろんなこと見えてるなー


※編集注 おにまい!原作商用7巻に、コミックマーケットに行くみよさんとまひろさんのお話があります。一部以下に抜粋いたします。



ご覧いただくとお分かりのように、みよさんも「素質」があるようですので見る専門だけでなく創作側に回る可能性も秘めていますね。
そうなりますと恐らく、題材は「なまもの」となるでしょうからお友だちには見せられない作品となってしまうかもしれませんね。

しかしながら、この時のまひろさんはみよさんが「自分たちを題材にする」可能性に思い至っていないのが平和な作品の証拠かもしれませんね。







 こ、こんなところ、です・・・。はぁ~~~・・・・・・
 みゃー姉おつかれさま! ありがと!
 ミャーさんおつかれさまー☆
 頑張りましたね、お姉さん。あとでひざまくらしてあげます
 は、花ちゃん・・・っ!


──みやこさん、みなさん、ありがとうございました。みやこさんのお姉さん然としたお姿に感動しました。天使のみなさんに分かりやすく、かつ過大なショックを与えないよう配慮されながら見事に解説役をやりきったと思います。


 ありがとう、ございます・・・。本当はお母さんがやるべきことなのに・・・


──千鶴さんは、みやこさんの為に敢えて放任しているのだと思いますよ。立派にやりきったのですから、千鶴さんもお喜びになることでしょう。


 そ、そうなんでしょうか・・・。うーん・・・





■思考実験1:緒山兄妹について


──それでは、折角コラボレーション先作品のことを取り上げていますので、ここでもう少し内容について踏み込んでみましょうか。


 おう! いいぞー!
 内容っていうと、今後の展開についてとか?


──いえ、さすがにそこは作者様であるねことうふ氏の独壇場ですので。ここではアニメ視聴中に疑問に思った点などを取り上げて、深堀りをしてみていただけたらと。


 疑問に思ったこと・・・は、さっきひなたの質問のところでほとんど出ていたと思いますけど・・・


──説明が曖昧で申し訳ございません。先ほどのように「用語・概念」について有識者(みやこさん)から教えていただく。といった形ではなく、みやこさんも含めて天使のみなさんでいろいろと話し合ってみていただけたらと。


 なんとなくおとーさんの言いたいことは分かるかも。じゃあ、私からいいか?
 うん。どんなこと?
 なんでまひ兄は、ひきこもりでニートでじたくけいびいんになったんだろう
 んー、なんか学校でいろいろあったんじゃないかなー?
 あ、こういうことね。たぶん、1話でランニングしてたところで出てたことが関係しているんじゃないかな
 ミャーさんは経験者だから、思い当たるところある?
 だから違うって・・・。うーん、花ちゃんの言ってるランニングのところでまひろちゃんが言ってたセリフを書きだしてみるね。

「みはりはよくできた妹だ。出来過ぎと言ってもいい」
「昔から運動が得意で、中学では陸上の大会で記録も残している」
「勉強もよくできて、大学にも飛び級で入学してしまった」
「優秀な妹の兄という立場。周囲の視線。重圧感────。別にそれだけが理由ではないけれど」
「その挙句、こんな風に妹のおもちゃに・・・。でも、実のところ今は妙に気分が楽だ。自分が身の丈に合った位置に収まった感じがする」
「もういっそ、お兄ちゃんはおしまいにして、このまま・・・」


 ・・・こんな感じだったはず。
 ミャーさんありがと。なんか思い出してきたなー こんなこと言ってた気がする
 それで、たぶんひなたの言ってることは4行目が理由になってるんじゃないかなって思う。
 「優秀な妹の兄という立場。周囲の視線。重圧感────」ってとこか。そうだなー・・・うーん・・・
 すっきりしないみたいだね
 いや、これが理由だとわたしも思うんだけど、これってつまり、妹のみは姉が原因でそうなったってことでいいのかな
 誰のせい、というのはあんまり追求しない方がいいと思うけど、そうだね・・・。優秀すぎる妹と比較されてしまう兄という立場で、いろいろ周りから言われたり期待されたりしたんだろうな・・・。まひろちゃんとしてはそれに耐えられなくて引きこもることになったと感じてるみたいだね


──少し原作から思考材料を出しましょう。真尋さんが引きこもったのはみはりさんが高校生になる少し前からという情報があります。
──みはりさんは「中学卒業と同時に大学に飛び級した」のではなく、「中学卒業後、かえでさんと同じ高校に入学後に一念発起して飛び級大学生となった」ようです。
──高校デビューで大きく見た目の変わったかえでさんから「かわいくなれば自信もつくし、案外見た目に影響されちゃうの」という話を聞き、「まずは見た目から……」「なら無理やり……」「いっそのこと……」「そのためには……」と独り言をつぶやきます。
──このパートは「みはりと飛び級」というタイトルであり、みはりさんが飛び級するきっかけとなったお話とされています。なお、かえでさんには大学での研究内容は(まひろさんを見つめながら)「ナイショ」と伝えています。


 あー・・・ なるほどネ。今のは「おにまい前日譚」みたいなお話なんだ。つまり・・・
 まとめると、みはりちゃんは「大好きなお兄ちゃんが引きこもっているのは自信を失ったから」だと思っていて、自信をつけてもらう為にかわいい女の子にしてしまおうとした。その為の女性化のお薬の研究を大学でしている・・・のかな
 そうなりそうだね。・・・これ、もしかしてかなり重いお話なんじゃない・・・?
 うんうん。大好きなお兄ちゃんの為にそこまでできちゃうなんて、お兄ちゃんへの愛がすごく重いと思う
 さっきの話に戻るんだけど、みは姉はまひ兄が引きこもった理由、自信なくしちゃった理由を知ってるのかな
 ・・・いや、これ、まって・・・。自分のせいで大好きなお兄ちゃんが、ってところに気づいちゃうと、みはりちゃんショック大きすぎるんじゃない?
 なんかすごい危ない綱渡りしてるような気がするね。大丈夫なのかな・・・
 やっぱりそっか
 ・・・ヒナタちゃん?
 このアニメな、絵はすごくかわいいし、ぱすてるからーで色合いも明るいし、内容もギャグっぽいんだけど・・・。なんか、見ててずっとヒリヒリするっていうか、ぞわぞわしながら見てたんだ
 そうなんだー?
 なんでそう感じるのかなーって、ずっと考えてたんだけど・・・。たぶん、「本当のことをぜんぶみは姉が知ったら、みは姉が壊れちゃうかもしれない」って感じてたからかもしれない
 そういえばひなた、最終回見終わった後、肩の力が抜けてすごくほっとしてたよね
 うん。おもしろかった! っていうより、「何も起きなくてよかった」っていうのが強かった
 そうだネ。ヒナタちゃんはやっぱりやさしい。アタシなんてミハリちゃんは「ちょっとネジ外れた科学者」みたいな印象だったのに。    ヒナタちゃん、おいで


 きゅぅ・・・


 へへ・・・ のあー      ・・・まひ姉もみは姉も、お友だちも。みんなしあわせになれるといいな・・・
 うんうん・・・







■思考実験2:「元の男性に戻るか否かの判断」について


 こほん。次の話題、私からいい?
 うん。ごめんネ、またいちゃついちゃったω
 いいぞー!
 えと、最後にまひろちゃんは男の子には戻らなかったよね。あれはどう思う?
 マヒロちゃんも言ってたけど、やっぱりお友だちのことを思ってそうしたんじゃないかなー。朝になってマヒロちゃんが急にオトコノコというか男性になってたらみんなパニックだもんネ
 私もそう思うな。ひなたとお姉さんは?
 まひ姉はずっと「おとこにもどってやるー」って言ってた。だから本当は戻りたいって気持ちはあるんだと思う
 そうだね。それだけ女の子になってから得たものがかけがえのないものだったってことかな。周りのみんなのことを考えることができるようになったっていう、ひとつの成長の表現だと思う
 それで、なんですけど。思考実験ってことなので・・・
 うんうん?
 仮に、あのお薬を飲み続けるとだんだん効果が出なくなっていく(女性化を維持できなくなってくる)と考えるとして、次世代の新しいお薬が必要になったとするよね。でも、その新しいお薬は飲むと「ほぼ半永久的に女性化することになる」ことが分かっているの。つまりもう戻れなくなるお薬ってことね。
 ・・・え・・・?
 つまり、ある日突然まひろちゃんにとっては「男性に戻れる最後のチャンス」が訪れることになるの。仮にだけど、もしそういうお薬だと分かっていたら、まひろちゃんはどうしたと思う?
 う、うーん・・・
 最後のチャンスかー。まひ姉ならどうするかな
 そっか・・・。あの薬の効果は長くて1年弱(10ヶ月くらい?)みたいだもんね。アニメの最終回は確かに、あのチャンスを逃してもまた来年に男性に戻るってことができたけど・・・
 具体的に考えてみようか。あの場で、みはりちゃんから新しい薬の説明を受けて、「これがラストチャンス」ってみはりちゃんから言われた時のまひろちゃんの反応を考えてみよう
 「み、みはりぃ~・・・ それ、本当なのかぁ・・・? 効果があまり出なくてもいいから、いままでの薬でいいんだぞ。ひとまず今晩を越せれば・・・な?」
 あ、スイッチ入ったネω 「ダメよ。今までの薬はもうお兄ちゃんの体には合わないの。危険と分かってる薬は投与できない・・・これは科学者としての判断なの」
 「そんな・・・。それじゃ、今が・・・ この瞬間が、戻るかどうか決められるラストチャンスってことなのか・・・」
 「お兄ちゃんの体は、そのまま放っておくと明日の朝には自動的に元の男性に戻るわ。そうなってからでも薬は投与できるけど、かえでたちは明日の朝には本当のことを知ることになる」
 「そんな、急に・・・旅行の最中だってのに・・・。 元に戻ったら、今のみんなとの生活はおしまいなんだよな・・・」
 「お兄ちゃん・・・」
 「・・・おれ、結構居心地よかったんだ・・・。でも、でもなみはり。おれは、おれは男なんだ・・・っ!」
 「うん・・・」
 「男の尊厳を失ったかわりに、今のみんなとの生活を得られたのはわかる。確かにニートしてたころのおれより、今の生活のほうが充実してるし、このままやり直せるって・・・本気で思ってたけど・・・」
 「男に戻りたい。戻りたいけど・・・かえでちゃんたち、もみじやあさひやみよちゃん、クラスのみんなとの生活も今のおれには捨てられない・・・! どうしたら、みはりぃ、おれはどうしたらいいんだ・・・」
 「お兄ちゃん・・・っ!」

 ・・・ごめん、ノアちゃん花ちゃん。一旦ストップ。ひなたがもう限界だから         ほら、ひなた。よしよし・・・大丈夫だよ
 わあぁぁあぁぁ・・・ みはね、みゃー姉~・・・  まひ姉のこと、じょうずに救えなかった・・・ ぐすっ
 ご、ごめんひなた。お姉さんもごめんなさい・・・
 ヒナタちゃん・・・。 ハナちゃん、ミャーさん、ちょっといい?   やってて思ったんだけど、今の設定にはひとつ大きな無理があると思うのアタシ
 ノア教えて
 タイミングが絶望的に悪いっていうか、たぶんミハリちゃんならちゃんと考えてしかるべき時期にちゃんと新しいお薬出すと思うー
 タイミング・・・
 あれだよね。周囲の人にばれたら大変、みたいなタイミングで投与しようとはしないってことでしょ?
 そうそう。ミハリちゃんなら、まず最初にカエデちゃんにすべての事情を話すと思う。それから二人で一緒に、モミジちゃん、アサヒちゃん、ミヨちゃんにしっかり説明していくと思うんだー。もちろん、クラスのみんなにもネ
 そうだよね。みはりちゃんならもっと用意周到だよね・・・
 説明するにも時間がかかると思う。何しろ、周りのみんなは一番大事なことを知らされていなかったわけだから。元々男性であること、何故女性化させる必要があったのか、どこを目指した実験なのか。そして、どうしてみんなに説明しないまま進めていたのか。これを説明して分かってもらう必要があるよね
 理解はできるけど、納得はできない。って状況になりそうだよネ。やっぱり時間をかけるっていうか、時間が解決してくれるのを待つことになりそう。
 ・・・でも、はな。いい経験させてもらったぞ。ありがとな
 え・・・でも
 わたしたちって、憲章で「性別の入れ替わる「男子化」は避ける」って言われてるだろ? だから、今みたいなのはすごく新鮮だった
 ・・・そっか。まひろちゃんは見た目女の子だけど、考え方は男の子だから・・・
 おう! そういうことだ!
 ひなた・・・
 へへっ





■思考実験3:「妹としてのみはり」と「科学者としてのみはり」のそれぞれの行きつく先について


 ヒナタちゃん、がんばったネ。なんかまた ぎゅっ ってしたくなっちゃうけど、そうしてると先進まないからガマンω   次はアタシからでもいい?
 おう!
 ミハリちゃんはお兄ちゃんの為に研究してるのは分かったけど、終着点はどこだと思う?
 終着点かぁ・・・
 この先の展開にも関わると思うけど、あくまで今出てる情報だけで考えてみよー
 みはりちゃんも捉えどころがないよね・・・。妹としてのみはりちゃんは、最終的にお兄ちゃんが社会復帰してくれればそれでよし、なんじゃないかなぁ
 ふんふん。じゃあ、お兄ちゃんが社会復帰したとして、そのときマヒロちゃんはオンナノコ? それともオトコノコ?
 えぇ・・・ ううーん・・・。そこは問わないんじゃないのかな。お兄ちゃんが大好きなみはりちゃんだから、男性に戻ってくれたら元の鞘に収まる感じでハッピーだろうし、誰かのお嫁さんとして嫁いでいく形であっても喜びそうな気はする
 まひろちゃんがお使いに行くときに、みはりちゃんの想像の中でしたけど男の人と結婚式挙げてるイメージありましたね。


<第4話 まひろとあたらしい友達> より、みはりさんの想像の中での結婚式


 「このままじゃどこまでいってもごくつぶしね」って、みゃー姉みたいなこと言われてたな。まひ姉
 ・・・ひなた?
 だからちゃんと社会復帰して、働いて、ひとりでも生活していけるようになってほしいんだと思うぞ
 ぎゃーーーっ>ミ
 なんでお姉さんがダメージ受けてるんですか。・・・まぁ、でもそうだね。つまりみはりちゃんは「男の子に戻るなら社会復帰して生活能力を身に着けてほしい。女の子のままならお嫁さんとして嫁いでほしい」って考えかな。
 うんうん。アタシもそんなカンジだと思うー。じゃあもうひとつ。「科学者としてのミハリちゃん」のゴールはどこだろうネ?
 そこなんだよねぇ・・・。あんまり作中で科学者としてのみはりちゃんは出てこないから、難しいよね。


──では、また原作から思考材料を出しましょう。原作4巻にはまひろさんが風邪を引くお話(第32話 まひろと突然の来訪)があるのですが、その際薬の効果が弱まり一時的に身体が男性化してしまいます。
──みはりさんが看病することで大事には至らずまひろさんも完治するのですが、ラスト付近で「科学者としてのみはりさん」が顔を出します。以下、参考画像を提示します。

※編集注 「おにまい!原作商用4巻 第32話 まひろと突然の来訪」より。「科学者としてのみはりさん」


薬の効果が弱まる作用機序を解明する為、自分が看病をして折角治ったまひろさんに再度風邪を引くよう依頼するみはりさん


 うわー・・・ やっぱりマッドサイエンティストかもω
 ちょっと怖いね・・・。「妹としてのみはりちゃん」と「科学者としてのみはりちゃん」は、全然違う価値観で動いてる気がするね
 でもこれも、もっと広い視点で考えたら「お兄ちゃんの飲んでる薬の安全性を高めたい」って気持ちからなんじゃない? 目指すところは一緒なんじゃないかな
 うんうん。でも、こういうところが分かっていないお薬を、いきなり人に投与するのはやっぱり普通じゃないとは思うな・・・
 そうだなー。安全性はじゅうぶんけんしょうしたって、みは姉は言ってたからな。でも、けんしょうしたのに考えてもみなかったことが起きちゃったから、試してみたくなったんだろうな
 みんなこのお薬の効果、オトコノコがオンナノコになるだけって考えてると思うけど、それだけじゃなくて「アンチエイジング」の効果もものすごいと思うのアタシ
 あんちえいじんぐ?
 そうだよね。成人男性の真尋くんがそのまま女性化するなら、成人女性のまひろさんになってるはずだよね。「若返り」の効果だけでも世紀の発見だと思う
 第1話でミハリちゃんがマヒロちゃんを見て「お兄ちゃんってばずいぶんとまぁかわいらしくなっちゃって。中学生くらいかしら」って言ってたし、さっきのパパの情報からも「オンナノコになる」ことがメインのお薬なんだろうなーって思う
 どういうこと?
 ミハリちゃんが飛び級大学生になった理由が「自信をつけさせるためにオンナノコにする為の薬を研究する」だったし、「中学生くらいかしら」ってことは何歳にするっていうところはアバウトなんだろうなーって
 女性化する効果と、若返りの効果を切り分けて考えるならそうなりそうだね。・・・この薬、女性が飲むとどうなるんだろうね


──少しサポートしますね。原作にて海水浴に行くお話があるのですが、まひろさん用に持ってきていたお薬を、同級生の女子中学生が飲んでしまうというハプニングが起こります。その時起きた変化は「胸が豊かになる」というものでした。
──その為、このお薬を女性に投与すると高濃度の女性ホルモンを大量摂取したのと表層上は似たような効果が出るものと考えられます。もっとも、それだけで「男性の女性化」「若返り」までは説明できませんので、それらの効果は別の成分と考えられます。


 みゃー姉みたいにぽよんってなるのか。ちょっと飲んでみたいぞ
 んん、ヒナタちゃんはそのままがカワイイから☆
 おー、そうか?
 それで・・・ ひなたは、どう思う? みはりちゃんは最終的にどう持っていきたいんだろうね
 あたまなでてほしいんだと思う
 えっ?
 頭を?
 みは姉は、昔みたいにまひ兄にあたまなでてほしいはず。「みはりのおかげで人生やり直すことができた。本当にありがとうな」って言ってもらって、なでなでしてもらいたいんだと思う。
 ・・・うん。案外、そういうのが原動力になったりするよね。   ひなた、おいでー
 えへへ みゃー姉ー


 なでなで


 んふふー
 ・・・ヒナタちゃん見てたら、なんかそんな気がしてきたーω
 まぁでも、うん。みはりちゃんはその為に頑張ってるのかもしれないね


──かなり精神力を使いますので、思考実験はここまでとしたいと思います。みなさんの視点・考察を拝聴することができてとても有意義な時間でした。ありがとうございました。
──最後に、懇親会のことにお話を戻したいと思います。ひなたさん。今回は突発即興劇ということもあり、物語を織り成すだけで精一杯だったと思います。もし保護者のみなさまにメッセージなどありましたらお願いいたします。


 おう! あの「いもまい!」のお話は、「おにまい!」のアニメ見てる時から考えていたんだ。
 公演会向けのお話として考えていたっていうより、アニメでみは姉とまひ姉がやったように「立場と役割が入れ替わったらどうなるんだろう」ってところを、わたしとみゃー姉で考えてみたんだ。
 「おにまい!」だと妹より小さくなって女の子になったまひ兄が、もともと妹だったみは姉の「妹」って立場にいきなりなっちゃっただろ?
 そこは「いもまい!」とは逆なんだけど、わたしは大好きなみゃー姉がいつも何も言わないでやってくれてるいろんなことを、わたしがやらないといけなくなったらどうなるんだろう? ってとこを突き詰めてみたんだ。
 最初から、わたしにみゃー姉のかわりなんてできないって分かってた。だって、みゃー姉はそれだけすごいから!
 わたしがみゃー姉みたいにふるまおうとして、でもぜんぜんできなくて。っていうのを表現することで、のあの「羽休め」からの「みゃー姉ってすごいんだ!」って流れをもっとしっかりしたものにしたかった。
 ヒナタちゃん・・・
 そのうち、のあの「羽休め」の続きのお話が見られると思うから、その前にみゃー姉のことを「こんなにすごいんだぞ」ってみんなに知ってもらいたかったっていうのもあるんだ。
 ひなたがいつも学校でお姉さんのすごいところ広めてるけど、懇親会でもあんな感じのことをしたかったんだね
 そうだぞ。みゃー姉のこと、大好きだからな!
 ・・・>ミ、、、
 あれ ミャーさん泣いてる?
 お姉さん・・・
 私、本当に、家族にめぐまれてるな・・・って、思って・・・ うぅ、ひなたありがとうね
 みゃー姉泣かないでくれ。わたしもおかーさんも、いつだってみゃー姉の味方だぞ!
 うん うん・・・>ミ、、
 みゃー姉のためならなんでもするからな。困ったらいつでも言ってくれ!
 ヒナタちゃん、そのうち飛び級してミャーさんの為のお薬作りそうーω
 ひなた、その時はついでに「誰でもお姉さんくらいおいしいお菓子が作れるようになるお薬」も作ってね


──お薬に頼るのはあまりよろしいことではないのですが……まぁ、そのお話は追々。
──本日もどうもありがとうございました。懇親会でインタビューを設けたのは今回が初でしたが、今後も必要に応じて取り入れていこうと思います。

















【 ディスローンの「火の根源地」周辺の様子 】

絵笛さんがツアーコンダクターをしてくださいましたディスローンの新エリアにつきまして何箇所か撮影してみました。
各サムネイルをクリックしますと別ウィンドウにて原寸サイズ(横幅1920ピクセル)の写真が表示されます。
パソコンなどの壁紙にしていただくなど、ご自由にご利用ください。



今回の集合場所。水と火の境界地域。
人魚の姿。竪琴を持っていることもあり、「アクアエルフ変身ハープ」の色違いのような印象ですね。ただし、こちらはあまり男女の性差を感じられない、中性的な造形となっています。
人魚の姿のアップ。よく見ると左の肩口に小さなお魚が浮いています。
炎の庭園01。ディスローンは細かく地域が分かれているようで、この「炎の庭園」の他、「燃え上がる野原」などがあります。
炎の庭園02
炎の庭園03
炎の庭園04
燃え上がる野原
第1区域:ヴィータ01
第1区域:ヴィータ02
第1区域:ヴィータ03
第1区域:ヴィータ04
第1区域:ヴィータ05。こちらの蓮のようなお花は水辺に咲いているのですが、花弁が透き通っており向こう側が透けて見えていますね。色合いも青~緑~赤系統に周期的に変化し、オーロラと同じく見飽きないものとなっています。
夜明け01
夜明け02
夜明け03。こちらは実際の懇親会の時に撮影したものです。絵笛隊長率いる一行は、ディスローンの果てに黄金郷を見た……!
ケリオンドの秘密幕舎。今回の絵笛隊長率いる探掘隊の目的地のひとつ。適度に解放感があり、公演会の会場としても使えそうな趣がありますね。
第2区域:イグニス01。イグニスもヴィータ区域と同じようなオブジェが並びます。ただ、イグニスは夜間のイメージのようで天空には常時オーロラが見えています。
第2区域:イグニス02
火の根源地01
火の根源地02。イグニスには「一般地域」と「中心地域」があり、一般地域に入るとこのウサギに変身させられてしまいます。補助魔法扱いであり「火の根源地:一般地域 LV1」という補助魔法がかかりウサギ化します。
火の根源地:中心地域。中心地域に入ると変身は解けますが、「火の根源地:中心地域 LV1」という補助魔法がかかります。
懇親会会場でのオーロラ01。不定形の輝きが天空を占め、現れては消えてゆく様は非常に癒されます。ずっと見ていられますね。
懇親会会場でのオーロラ02
懇親会会場でのオーロラ03
懇親会会場でのオーロラ04
懇親会会場でのオーロラ05
懇親会会場でのオーロラ06
懇親会会場でのオーロラ07
懇親会会場でのオーロラ 海面反射01。星空とオーロラが凪いだ海に反射しています。
懇親会会場でのオーロラ 海面反射02
懇親会会場でのオーロラ 海面反射03
懇親会会場でのオーロラ 海面反射04


絵笛さんもおっしゃっていましたが、オーロラは「火」を表すこともあります。フィンランド語では「revontulet」と呼ばれ、「狐の火、狐火」という意味とされています。ディスローンの火のエリアを象徴する発光現象としてしっくりくるものと言えるでしょう。
ちょうどなききつねさんもいらしていましたので、なききつねさんが起こした現象かもしれませんね(微笑)
元々オーロラという言葉は、ローマ神話の曙の女神「アウロラ(Aurora)」が語源とされています。小惑星アウロラと語源が同じですね。風や星たちの母とされ、光り輝く2頭の馬が引く馬車に乗り、太陽神ヘリオスの出現を告げながら空を駆ける役目があるそうです。



















■ グランカインサーバのアデナアート(HOLLOW KNIHGHTに登場する放浪者) ■


グランカインサーバ在住のなききつねさんは、生粋のアデナアートマスターです。
今回の解散時のチャットログ終盤でアデナアートを作られたことを周知してくださったので、白咲花さんが撮影してくださいました。



恐らく、 こちらのゲーム のキャラクターと思われます。

素敵な作品、ありがとうございました。






■ ヴァラカスサーバのわたてん!イルミネーションアート(泣いているみやこさんをなだめているひなたさん) ■


ヴァラカスサーバ在住のまいちゃんさんは、生粋のイルミネーションアーティストです。
毎回天使たちの紡ぐお話のシチュエーションに応じたイルミネーションアートをヴァラカスサーバにて作ってくださっています。
本記事最初にURLはご案内しておりますので、イルミネーションアート製作過程の記事につきましてはそちらをご覧ください。







ヴァラカスサーバにて、星野ひなたさん、星野みやこさんが観賞することができたようです。
作者のまいちゃんさんに、しっかり天使たちに見ていただけたことをご報告すべくこちらに掲載させていただきました。

素敵な作品、ありがとうございました。







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